試聴会の様子
JVCケンウッドは、6月5日に発表したウッドコーンスピーカー採用のCDミニコンポシステム「EX-HR9/HR7/HR5」のマスコミ向け試聴会を、東京・渋谷のビクタースタジオで開催した。
JR千駄ヶ谷駅から徒歩10分の距離にある「ビクタースタジオ」
ウッドコーンスピーカーは振動板に木材を採用する同社のスピーカーシステム。同社によればステレオセットの出荷金額が年々減少傾向にある中で、同社のウッドコーン採用ステレオセットの金額シェアは年々上昇。
その背景には、ビクタースタジオとの共同チューニングによる音質向上(同スタジオにはウッドコーンスピーカーが30個以上導入されており、音作りの際の標準スピーカーとしても使われている)や、ラインナップの増強などがあるが、製品としては2008年から2009年にかけて発売した「EX-AR」シリーズが貢献しているという。
左が「AR」シリーズで右が「HR」シリーズ
EX-HR9/HR7/HR5はそのEX-ARシリーズの後継機にあたるモデル。同社のオーディオ製品開発の基本理念である「原音探求」を踏襲し、“マスターテープの音を家庭で”という理想の元、同社のハイレゾ対応ミニコンポ「EX-N70/N50」のノウハウも投入している。
フルレンジスピーカー採用の最上位モデル「EX-HR9」
最上位モデルの「EX-HR9」。6月中旬発売で、予想実売価格は12万円前後
ウッドコーン(手前)前面に異方向性振動板を装着(十字になっているパーツ)。伝播速度を向上させる。また、スピーカー部(奥)のポールピース上部にはメイプル材を貼り付けることで音の濁りを低減している
コーンの中心に位置するセンターキャップの形状を変更。HR5(左)のものと比べて、HR9(右)は盛り上がっており、広がりのある抜けのいい高域再生が可能だ
歪みのない低音再生を実現するため、不均一(外側の山を大きくする)「コルゲーションダンパー」を採用
EX-HR9付属のスピーカーユニット断面。スピーカー磁気回路は直径9cmの大型のものを採用。その後ろに八角形のメイプル材を貼り付け、低音の増強とともに不要な振動の低減による解像感の向上、低音の低重心性などを実現。黒い袋には吸音材(メイプル材)が入っている
レシーバー部の底面。真ちゅう無垢削り出しインシュレーター3点で本体を支える。音質を考慮し、前方左右で滑り止めリングの位置なども異なる
2Wayスピーカーのミドルレンジモデル「EX-HR7」
2Wayスピーカーが付属する「EX-HR7」。8月上旬発売で予想実売価格は11万円前後
左がツィーター、右がウーファーユニット。写真では見えないが、ウーファーユニットの背面には異方向性振動板を装着している。また、吸音材としてツィーターはスプルース、ウーファーはメイプル材を採用する
スピーカーのカットモデル。ツィーター、ウーファーとも磁気回路後部に八角形のチェリー材を貼り付けている
レシーバー部の底面。厚さ9mmのMDFボードを貼り付けることで振動を吸収。アルミパネルを固定するネジのワッシャーを、部位によって銅や真ちゅうにするなど異種金属の組み合わせで音質を調整している
10万円以下で買える「EX-HR5」
すでに発売中の「EX-HR5」。実売価格は8万5000円前後
スピーカーのカットモデル。マグネット後方に4角形のウッドブロックを装備。キャビネットにはチェリー無垢材とアルダー無垢材を採用し、内部にはハイレゾ再生に対応するため棒状のチェリー材(前方上部など)を配置している
試聴会では、マイクの違いによる音の聴き比べなどを実施。ダイナミックマイク、コンデンサーマイク、リボンマイク、真空管チューブマイクにより収録した同一歌手の歌を聴き比べ、その違いをHRシリーズで表現できるかを実現。
実際に各マイクで収録した音は異なって聴こえ、その再生能力を実証した。