日本IBMは5月27日、日本取引所グループのグループ子会社である日本証券クリアリング機構において、OTCデリバティブ精算システムの基盤としてIBMのフラッシュストレージ「IBM FlashSystem 840」を採用すると発表した。同時に、同システム利用者向けのテスト環境として、4U/4ソケットのx86サーバー「IBM System x3850 X6」の採用も発表している。
OTCデリバティブ取引清算とは、証券取引所を通さずに証券会社の店頭でデリバティブ商品を取引する相対取引(Over The Counter取引)の債務引き受けなどの清算業務のことを指す。東京証券取引所グループ(東証グループ)と大阪証券取引所(大証)が経営統合して誕生した日本取引所グループでは、このOTCディリバティブ精算分野を軸に収益源を多角化し、ビジネス領域を拡大することを重点戦略の1つに掲げている。
昨今、OTCデリバティブ清算システムにおいて、取扱高の拡大などを背景にパフォーマンスの向上が急務となっており、一番の課題であるI/Oボトルネックの解消に向けてストレージの刷新が図られた。性能検証では、現行の本番環境比でI/O負荷の高いバッチ処理を6~10倍高速化できること、約20万レコードの書き込み処理がこれまでの数分から0.5秒未満に短縮されることなどが確認され、FlashSystem 840の採用が決定した。
なお日本取引所グループでは、FlashSystemと合わせて「IBM System Storage SAN ボリューム・コントローラー(SVC)」も採用し、これまで利用してきた他社製共有ストレージの活用や、セカンダリサイトとのデータ同期の実現も図る。
また、今後さらに取引件数が増大した場合にCPUリソースの増強が必要になることから、OTC精算参加者向けの新テスト環境の構築に、x3856 X6サーバーを採用するとしている。