日本IBMは1月17日、同社x86サーバーの第6世代アーキテクチャ「X6」を発表した。メモリスロットへの大容量フラッシュストレージ搭載、バックプレーンを備えたモジュラー設計、RAS強化といった特徴を持ち、「System x」サーバーのハイエンド機種や「Flex System」など大規模システム向けサーバーで採用していく方針。
X6は「アナリティクス」と「基幹データ処理」の両方にフォーカス
同日の発表会で、日本IBM システム製品事業本部 x/Pureセールス事業部 事業部長の小林泰子氏は、新しいX6アーキテクチャの狙いについて「『アナリティクス』と『基幹データ処理(OLTP)』の両方にフォーカスしたアーキテクチャ」だと説明した。具体的には、現在の企業コンピューティングで求められる「FAST」「AGILE」「RESILIENT」という3つの特徴を実現するという。
まず「FAST(高速性)」を実現する技術として、X6ではメモリスロットに大容量のNANDフラッシュストレージ「eXFlash DIMM」を搭載可能にする「eXFlash メモリー・チャネル・ストレージ」を採用している。現在一般的なPCIe接続のフラッシュストレージと比較して、レイテンシーは最大3倍向上し、かつ容量単価は「3割程度」(IBM)安くなるという。
eXFlash DIMMは、CPUとは通常のDDR3信号でやり取りするが、ドライバをインストールしたOSではストレージとして認識される。サーバー側に特殊なハードウェアコントローラは搭載していないが、ファームウェアに含まれるIBMの独自技術(WriteNow、Direct Data Accelerator)によって「他社が同様の製品(x86サーバー)を出してきたとしても強みがある」(IBM)としている。
続いて「AGILE(俊敏性)」の実現のために、X6ではモジュラー設計を採用している。具体的には、電源とバックプレーンを備えるシャーシに、CPUとメインメモリ/eXFlash DIMMを搭載する「コンピュート・ブック」、OS起動用ストレージとRAIDコントローラを搭載する「ストレージ・ブック」、PCIブリッジやPCIeスロットを提供する「I/Oブック」という3種類のモジュラーを装着することで構成される。
各1モジュールずつの構成から利用できるため、初期投資コストを低減してシステム成長に応じた段階的な投資が可能になる。また新しいCPU世代への変更も、従来のx86サーバーのように筐体ごとリプレースする必要がなくなる。
「RESILIENT(自己回復性)」については、Xeon E7プロセッサーそのものが備えるRAS技術に加え、IBM独自の技術をファームウェアに盛り込んで提供し、可用性の向上を図っている。具体的には、CPU障害時の自動対応やメモリエラーの早期対応、仮想化プラットフォーム(VMware、Hyper-V)と連携した無停止メンテナンスなどの機能を備える。
大規模システム向けx86サーバーで採用
発表会に出席した同社システム製品事業本部 x/Pureセールス事業部 システムズ&テクノロジー・エバンジェリストの早川哲郎氏は、新しいX6アーキテクチャは大規模システム向けのx86サーバーに適用されると述べた。System xの4ソケットおよび8ソケットサーバー、Flex Systemのコンピュート・ノード(開発意向表明)が発表されている。
IBMではX6サーバーの特徴を活用する参照構成として、アナリティクス(DB2 BLUアクセラレーション、SAP HANA、Microsoft SQL Data Warehouse)向け、大規模仮想化/IaaS(Microsoft Hyper-V、VMware vCloud Suite)向けの参照構成を展開しており、今後も拡充すると述べている。