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業界人の《ことば》から 第88回

10年でドコモを抜けなければ腹を切るといったソフトバンク

2014年05月13日 09時00分更新

文● 大河原克行

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10年でドコモを抜けなかったら腹を切ると言った

 孫社長は、会見のなかで、夢を実現してきたいくつかの過去のエピソードにも触れた。

 そのひとつが、ボーダフォンジャパンを買収した直後の販売店向けの説明会で、「10年以内にドコモを抜けなかったから、私は経営者として腹を切る」と語ったというエピソードだ。

思いを強く持つことが、10年を待たずして夢を達成できた理由だ

 「当時はソフトバンクが黒字化したばかり。携帯電話事業のやり方を知っているのかという声もあった。みんな笑っていたし、ソフトバンクの幹部ですら、夢物語と考えていた。それよりも、足下の解約率をどう減らすのかといった目先の問題の方が大きかった」と振り返る。

 ボーダフォンジャパンの買収から約7年。「今回の決算からもわかるように、なにかひとつの指標でドコモを抜いたのではなく、売上高も、営業利益も、純利益も、つながり度合いでも抜いた。ひとつだけを数あわせで抜いたのではない。そして、一度抜いたら抜き返されない、遙か遠くまで行ってみせるという決意がある。これからは、それを実行で示したい」と断言してみせた。

 そして、孫社長はこうも語る。 

 「ボーダフォンジャパンの買収時に、ドコモを抜くことを本気で決意した。その決意は理論や数字で説明できるものではない。持っている思いは会社のバランスシートには載らない。格付けにも影響しない。だが、会社が持つ財産のなかで一番大きなものがここである。思いを強く持つことが、10年を待たずして夢を達成できた理由だ」とする。

 また、「貧乏人に生まれたソフトバンクがここまで成長できたのは、持っている思いが違うからだ。財産はなくても、日本で圧倒的一位になる、一番になるという思いでがんばることが大切だ」と続けた。

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