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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第22回

減りつつある歌ってみた動画の投稿

「歌ってみた」のボカロ離れが始まっている?

2014年03月27日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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自分好みの歌ってみた動画を探したい。そんなあなたに「Songrium」

 歌ってみた動画は数も多く、気に入った歌い手から探す等以外ではなかなか好みの動画を探すのは難しい部分があります。ランキング動画や紹介動画から探す方法もありますが、最近だとVOCALOID楽曲を分析している産業技術総合研究所の「Songrium」というサービスに「歌声分析」という面白い機能があります。

 この機能を使うとボカロ曲の歌ってみた動画の音声を分析して機械的に男性寄りの声・女性寄りの声などと視覚化してくれます。可愛い女の子の声の歌ってみた動画が好きなんだけどランキングではなかなか見かけなくて、というような人はこの機能を使って好きな曲で女性寄りの声の比較的再生されてる動画は、のように探すと良いかもしれません。

 ちなみに曲によって女性によく歌われているものと男性によく歌われているものというのはあるようで、たとえば同じ「じん(自然の敵P)」の最近のカゲプロ曲でも「ロスタイムメモリー」や「アウターサイエンス」は男声の歌ってみたが多く、「アヤノの幸福理論」や「夕景イエスタデイ」は女声の歌ってみたが多いようです。参考に「ロスタイムメモリー」と「アヤノの幸福理論」のスクリーンショットを載せました。

songriumの歌声分析ページから「ロスタイムメモリー」と「アヤノの幸福理論」。中央部のたくさんの円が個々の歌ってみた動画を表している。下の青い方が男声寄り、上の赤い方が女性寄りの動画。円の大きさは再生数に比例、右に行くほど投稿が新しい。「ロスタイムメモリー」は下に、「アヤノの幸福理論」は上に動画が集中している傾向がよく分かる

 この2曲は発表時期も歌ってみたの数も近く、内容的にも関係の深い曲ですので対称性が面白いですね。前者が男性キャラ視点、後者が女性キャラ視点というのもあるのですが、必ずしもこうした点と歌ってみたが対応してる例ばかりでなく、たとえば女性視点の「如月アテンション」なども男声の多い傾向の曲です。曲調やテーマと性別による人気に相関性などがあるのかは気になります。最近の曲では、歌ってみたの投稿数が多い曲は男声の投稿が多い傾向があるように思われます

Songriumの紹介動画です。Songriumには歌声分析のほかにもさまざまな機能があり、現在はさらにバブルプレーヤーやフィルタなど便利な機能も強化。ボカロ曲や歌ってみたを聞く人には大変オススメのサービスです。

 2010年の前後で「歌ってみた」はボカロ曲を歌う中で大きく動画と投稿者数を増やし、ニコニコ動画有数のカテゴリとなりました。しかし現在は投稿数も落ちて当時の勢いはなくなっているようです。有数の投稿者数のカテゴリであることもあり、この落ち込みはニコ動全体の新規投稿者数の減少にもつながっています

 歌う曲も少しずつボカロ離れが進んでいます。2013年は「紅蓮の弓矢」などアニソンが元気でした。2014年現在はまだはっきりした傾向はありませんが、ボカロ曲の比率は2013年に減ったままです。「歌ってみた」は、今はいろんな意味で変わっていく時期なのではないかと思います。

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