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見たぞ!食ったぞ! JALのキッチン、機内食工場

2014年01月11日 12時00分更新

文● 藤山 哲人

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機内で再加熱しても絶妙な火加減で
美味しいメインディッシュ

 こうしてようやく、自分の座席に美味しく安心して食べられる安全な機内食がJALでは提供される。飛行機の安心・安全なフライト以上に機内食の旅も長かった。

 最後はやっぱり試食して終わりたい。今回は特別にできたてのステーキと、フライト中に食べる再加熱したものを味比べさせてもらった。

この料理は有名シェフの山田チカラ氏の監修によるもの。ビジネスクラスの洋食メニューとなっている

小鉢と手作りロースハムのサラダ。めっちゃお酒が欲しくなる逸品ばかり。ブランダードは今度自分でも挑戦してみようっと!

 スープは「カブの冷製スープ ゆずの香り」。基本的にはビシソワーズなのだが、カブの甘さとゆずのさわやかな香りに、濃厚な生クリームがピッタリ。材料は和なのだが、全体的には洋になっていて味と香りが楽しい。

 小鉢は、左上からブリのエスカベッシュ(火を通したブリをマリネしたもの:日本酒に合いそう)、その右がタラのブランダード赤ピーマン添え(タラのほぐし身とポテトを和えて、生クリームと塩コショーで味付けしたもの:これは断然ワインに合う)、下段左はサツマイモのサラダ(相性がいいレーズンと一緒になってさわやか:これもワインかな? 焼酎もありかも?)、その隣は白菜とベーコンのミルフィーユ(これはベーコンの脂がビール!)だ。

 右の大きな区画は、手作りロースハムのサラダ。自家製のロースハムはパサつきがちだが(脂がない肉に塩振って乾燥させるので、どうしてもパサ付く)、すごくしっとりしていて驚かされた。

 おそらく水分を閉じ込めるマル秘レシピがあるに違いない。いずれも絶対に自分じゃ作らない(作れない?)手の込んだものなので、目と舌と鼻で料理を楽しめる。

メインの国産牛ヒレステーキ マスタードソース。ジャガイモのリヨン風と大シイタケのロースト添え

 メインディッシュは国産牛のヒレステーキだ。肉自体はフィレであっさりしているが、デミグラスソースにマスタードを加えた酸味のあるソースに加え、その下に濃厚なホワイトソースが隠されていて、コクとボリュームのある一品。

 さらにその下には、オニオンとスライスしたポテトを炒めたリヨン風ポテトが敷いてある。まあ美味しくないワケがないので、ヘタにレポートもするまい(笑)。

 さてできたてステーキとの比較だが、味はほとんど変わらないといってもいいだろう。むしろ機内で食べるほうが、肉にデミグラスソースのうまみが入り込んでいてオレ好み。違いは肉の柔らかさだ。

肉の中央は薄ピンク色でミディアムとウェルダンの中間ぐらい

できたては肉の中央がローズピンクで、ミディアムレアとミディアムの中間ぐらい

 どちらも絶妙というか、家庭ではマネできない超絶な火加減だが、やはりできたては肉が柔らかくしっとりしている。とはいえ機内を想定した方も十分に柔らかく美味しくいただける。

 これは再加熱による影響もあれば、ソースの浸透圧で肉の水分がいくらかソースに出てしまっているためだろう(だが、そのぶん味が入るメリットもある)。

 極論すると、できたては高級レストランで1万円ぐらいするヤツの柔らかさで、機内の方はステーキレストランで5000円ぐらいする最高級ヒレステーキという感じだ。

 さらに食後は3つのデザートから1品を選ぶことができる。さすがはビジネスクラス!

生プリン、チョコケーキなどから選べるが、筆者は全部食った!

匠の技が光る機内食は安全と安心の美味しさ

 好き嫌いというわけでなく、野菜しか食べられないという人や、宗教上の理由で決められた食材を使って決められた調理をしなければならないイスラム教の食事(ハラール)は、便を予約する際に申し出れば個々に対応してくれるということだ。

 JRCの中にはハラールキッチンはないが、食肉にする解体や食べてはならない肉類との完全分離、お祈りなどを行った機内食を、きちんと封印した状態で提供できるということ。

「機内食は美味しいよ」

 さて超・長編でお送りしてきたJAL機内食工場の粘着取材。もはやここまで何人の読者がついて来ているか分からないが「機内食は美味しいよ」というのが結論だ。ん~、これだと各方面から抹殺されそうなので、もう少し膨らましておこう。

 飛行機に安心して搭乗できるのは安全が約束されているから。そして機内のメインエンタテインメントである機内食もまた、美味しく安心して食べられるように、何十、何百というスタッフの手によって安全が守られているのだ。そして調理に携わるすべての匠の技で、目で見て楽しみ、香りを楽しみ、食べて楽しい機内食が提供されている。

 あーっ!機内食食べるため、閑散期にホノルルでも行きてーなーっ!

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