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見たぞ!食ったぞ! JALのキッチン、機内食工場

2014年01月11日 12時00分更新

文● 藤山 哲人

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ステーキ肉は1社からの納入では間に合わず
全国から買い付け!

 一昔前の機内食と言えば、エコノミークラスでもフィレステーキが提供されていた(あと成田発便には必ずソバが付く)。しかし現在は、クラスによってフィレやサーロインを使い分けているそうだ。

 スーパーで売ってるフィレ肉の価格を見れば分かるとおり、牛フィレ肉は希少な(およそ3%)部位。なので国内のフィレ肉を大量に買い込んでいたときもあったという。しかしメニューが変わった今でも、フィレ・サーロインともに品薄で全国から買い付けている。納入後は、安全検査をしてから、肉専用の冷蔵庫で保管するそうだ。

ここは肉専用の冷蔵庫で3度に設定されてる。野菜は7度というように、設定温度がそれぞれ決めれられている

反対側にも同様のラックが並んでいる。筆者の推測だが、おそらく一日分の肉プラス予備というところだろう

サシが入った黒毛和牛のサーロイン。スーパーで一切れ買ったら3000円以上はするはず。この一塊で4kgほどある

ラベルを見ると日本各地から買い付けたのがわかる

筆者がざっくり計算してみたところ、1ブロックから小さなステーキだと20人分ぐらい作れそうだ。つまりカゴに入っている分で、ほぼ1便と思われる

肉や魚介、野菜用の冷蔵庫に加え、冷凍庫もあり食材をストックしている

調理加工盛り付けは分担作業で
効率よくマニュアルどおりに

 調理のスタートは材料を切ったり、調味料に漬け込んだり、材料を和えたりというコールドキッチンから始まる。6人掛けの会議室テーブルのような調理台には、袋に入った素材や、あらかじめ下ごしらえされた材料などが入っており、これをマニュアルに従って調理する。

調理場には木製のものを持ち込んではならない。木は腐敗したり、菌が入り込みやすいからだ。なので包丁は柄もステンレス製、まな板も樹脂製、菜ばしも金属かトングを使っている

こちらはファーストクラスの食事の指示書。椿の葉に片栗粉をまぶすだけの指示になっているが、おそらくCAが機内で鍋(キャセロール)から取り分けてくれるものだと思われる

 各調理台には、調理手順を示す標準作業書と、何時までに何便には何食必要かが書き込まれた数量表もある。こうして搭乗客の数に合わせて過不足なく作っていくのだ。

 また部屋の片隅では、黙々と計算して先の表に数字を書いているヒトもいる。これはひとつの料理に必要な材料や加工済みの素材の在庫なども照らし合わせて、何時までに何個作るべきかを計算しているようだった。

これはビジネスクラスの和食の数量書。右のワクを見ると太平洋線のJAL10,06,08便に49個、欧州線のJAL405,401,403,407便に46個を14時までに作らなければならないらしい。そして翌日の朝8時まで62,66便用の22個も作るようだ

先の数量書は、この合鴨のものらしい。うまそうだー!

 あえてコンピューターを導入していないところを見ると、季節や旅客の変動などを見込んだある程度のカンが必要になってくるからなのだろう。とくに何種類かのメニューからチョイスできる場合は、経験とカンに頼るところが多そうだ。

こちらはあらかじめ冷やして固めたジュレの上に、彩りを添えて仕上げている。ファーストクラス用のアミューズブーシュ(食前酒のおつまみ)ということ

左上のものがファーストクラスで提供されている

ファーストクラスのチーズ盛り合わせ

ブルーチーズにカマンベール、チェダーなどが並んでいる。これもおそらくファーストクラス向け

 さて火を使って煮炊きしたり炒めたり、オーブンを使って加熱調理するのがホットキッチンだ。訪れたときはちょうど閑散としているときだったが、オーブンで肉に火を通し、コンロでソースを温めていたようだった。なお写真を拡大するとよくわかるが、右側に北京鍋も見える。

中央にコンロがズラリと並び、左側にはタンスのようなオーブンがいくつも並んでいる

中央コンロではソースを作っていたようだ。レスランと違い1人のシェフが調理の最初から最後までやるのではなく、機内食は火を使うだけの専任シェフがいる

 今回見たのは洋食用のホットキッチンだが、実は和食専用のホットキッチンもある。日本料理は洋食のように炒めるより、ダシや煮物、蒸し物の鍋を使う料理が多いため分かれているのだろう。

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