ステーキ肉は1社からの納入では間に合わず
全国から買い付け!
一昔前の機内食と言えば、エコノミークラスでもフィレステーキが提供されていた(あと成田発便には必ずソバが付く)。しかし現在は、クラスによってフィレやサーロインを使い分けているそうだ。
スーパーで売ってるフィレ肉の価格を見れば分かるとおり、牛フィレ肉は希少な(およそ3%)部位。なので国内のフィレ肉を大量に買い込んでいたときもあったという。しかしメニューが変わった今でも、フィレ・サーロインともに品薄で全国から買い付けている。納入後は、安全検査をしてから、肉専用の冷蔵庫で保管するそうだ。
調理加工盛り付けは分担作業で
効率よくマニュアルどおりに
調理のスタートは材料を切ったり、調味料に漬け込んだり、材料を和えたりというコールドキッチンから始まる。6人掛けの会議室テーブルのような調理台には、袋に入った素材や、あらかじめ下ごしらえされた材料などが入っており、これをマニュアルに従って調理する。
各調理台には、調理手順を示す標準作業書と、何時までに何便には何食必要かが書き込まれた数量表もある。こうして搭乗客の数に合わせて過不足なく作っていくのだ。
また部屋の片隅では、黙々と計算して先の表に数字を書いているヒトもいる。これはひとつの料理に必要な材料や加工済みの素材の在庫なども照らし合わせて、何時までに何個作るべきかを計算しているようだった。
あえてコンピューターを導入していないところを見ると、季節や旅客の変動などを見込んだある程度のカンが必要になってくるからなのだろう。とくに何種類かのメニューからチョイスできる場合は、経験とカンに頼るところが多そうだ。
さて火を使って煮炊きしたり炒めたり、オーブンを使って加熱調理するのがホットキッチンだ。訪れたときはちょうど閑散としているときだったが、オーブンで肉に火を通し、コンロでソースを温めていたようだった。なお写真を拡大するとよくわかるが、右側に北京鍋も見える。
今回見たのは洋食用のホットキッチンだが、実は和食専用のホットキッチンもある。日本料理は洋食のように炒めるより、ダシや煮物、蒸し物の鍋を使う料理が多いため分かれているのだろう。