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見たぞ!食ったぞ! JALのキッチン、機内食工場

2014年01月11日 12時00分更新

文● 藤山 哲人

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美しく盛り付けられた料理の裏にある
厳しい温度管理

 すべての料理ができたら、今度は盛り付けキッチンでいっせいに盛り付けが始まる。このキッチンはコールドキッチンとホットキッチンの中間にあり、それぞれからできあがった料理を1つのお皿や小皿に盛り付けていく。

盛り付けキッチンは、ユニットのアッセンブリといった感じで、小鉢や料理単品を盛り付けていく

ガラス鉢はかぼちゃの上にブリの燻製を乗せたもの。彩りに大根とセルフィールがあしらわれている。黄色の小鉢はエビと黒豆。いずれもビジネスクラス用だ。ん~!これで1杯やりたいなぁ

こちらでは魚の煮付けを盛り付け中。これ日本酒でイケそうな感じ

こちらは洋食。ローストポークのサラダ仕立て。これはあとで試食させてもらったものだ!

ポテトサラダに、彩り美しいパプリカを添えた一品

 ここには街のレストランにはない、機内食独特の設備がある。それがブラストチラーという料理・惣菜を熱いまま生成的に急速冷却する機械だ。いったん加熱した肉などは、菌類が繁殖しやすい30~40度の温度帯を素早く通過し、食品内部を3度まで下げる必要がある。つまり街のレストランでは、料理ができたらすぐに提供するので、わざわざ高価なブラストチラーを用意する必要がない。

 しかし機内食は、提供されるまでにかなりの時間があり太平洋の上空だ。調理してから何時間も経過するため、菌をゼロにして機内に積み込む必要がある。

ブラストチラーという急速冷却庫。一般的な冷蔵庫と違って、いかに早く菌が繁殖する温度以下に食品を冷やすか? ということに特化している。入れはじめは冷凍庫のような冷気を当て、凍らないように食品の内部を3度まで冷やすという

 そのためホットキッチンで調理したもの(肉などは内部温度75度以上が義務付けられている)や、コールドキッチンでも室温近くなってしまった素材は、すべてブラストチラーに入れ急速冷却される。100度近いものを入れても数十分で3度まで冷却でき、凍ることはないというからスゴイ技術だ。

食材に菌が混入していないかを調べる
細菌検査

 飛行機の安全・安心運行と同様に、食の安全と安心に注意を払っていることを感じさせるのは、工場内にある細菌検査室だ。いくつか食品加工工場を取材した筆者だが、菌の培養施設を持っている工場は初めてだ。

 ここでは、できた料理1つ1つに菌が入っていないかを、シャーレで培養して検査している。また調理に使う食材もあらかじめ試験するという。しかも従業員の手や腸内、利用する調理器具などさまざまのものをテストするというから大変だ。

これまでのキッチンとは雰囲気がまるで違う実験室

菌の培養をするため、ガスバーナー(右下)を焚いて空気中の菌を滅菌、空気対流による無菌操作を行なう。写真は撮影のためバーナーから離れて行なっている

検体を培養用のシャーレに塗布して、暖かい培養庫に入れて無菌であることを確認する

 菌があった場合となかった場合の違いを見せてほしいと頼んだが、あいにく菌があった場合のシャーレがないということだった。確かにそんなシャーレがあったら、シャーレにならないもんネ。今日は北風が寒いね~。

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