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見たぞ!食ったぞ! JALのキッチン、機内食工場

2014年01月11日 12時00分更新

文● 藤山 哲人

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すべての料理をトレイにセットして
冷蔵・ローディング

 ファーストクラスのように料理が1品1品提供されないビジネスクラスやエコノミークラスの食事は、盛り付けキッチンで作られたお皿をミールセット室で1人用のトレイにセットする。

何人かで手分けしてお皿やパン、コップにカトラリーなどなどをトレイにセットする

見慣れたセットにできあがったと思ったら、ホノルル線のエコノミークラス用ということだった

セットを終えるとカートの中へ。高さはギリギリになっているようだ

 さてできあがったら、さっそく飛行機に積み込みたいところだが、食の安心と安全を確保するために、カートごと冷蔵庫に入れて冷やす。規定も厳しく定められ、4時間以内に食品内部が4度以下にならなければならない。

 肉料理などはあらかじめブラストチラーで冷やされているので、ここではカートが何百台も入るような巨大冷蔵庫で出発便を待つ。庫内温度は3度に設定されているようだ。

ホノルル便のエコノミークラスの食事がカートごと庫内に入っている。カート1台に28食×2面で56食。6台あるから全部で336食分だ

他のクラスの食事やデザート、生クリームなども見える

庫内は2.9度、湿度65%になっていた。感覚で言うと、雪でも降りそうな寒さ

 さて出発時刻が近づくと、いよいよ飛行機への積み込みが始まる。CAの準備などもあるため、だいたい出発時刻の1時間前に積み込み終えるようにしているという。搬出口にはゲート番号が割り振られていて、そこにトラックのケツを直結してカートの積み込みを行なう。

 写真は飲み物や機内サービスに必要な品々のみで、食事は含まれていない。それでもゲート前には大量のカートが並ぶ。通常は食事も込みでトラック1台で積み込めるが、大型機だとトラック2台分(=2ゲート分)を機内に積み込むそうだ。

各ゲートには、ケータリングトラック(荷台の部分がパンタグラフジャッキで持ち上がる)と呼ばれるトラックが付けられている

ゲートの左右には積み込むカートの数々が待機する

トラックの中。手前左側には、魚沼産コシヒカリの無洗米とミネラルウォーターがある。シリコン製の鍋を使い電子レンジで炊くということだが、気圧の低い機内でうまく炊く方法は秘密だとか

出発前まで巨大冷蔵庫で冷やされ
機内では200食を一気に温める

 さて徹底した温度管理で冷やされた状態のまま飛行機に積み込まれた機内食。しかし機内では温かい食事が提供される。

 ファーストクラスなどでは、個々を電子レンジなどで加熱する場合もあるが、旅客の多いエコノミークラスの食事をレンジで数個ずつ温めていてはラチが空かないどころか、目的地に到着しかねない。なので飛行機には、電子レンジ以外に2種類の加熱方法がある。

 1つは配られるトレイの一部にヒーターが仕込まれていて、カートにあるコネクターを飛行機に接続、スイッチONするとヒーターが温まるという方式だ。

左下のトレイの下にはヒーターを備えたトレイ。トレイをカートにセットし、カートのコネクタを飛行機に接続すると電源が通り温まる

カートにあるコネクター。これを飛行機側に接続する。コネクターは丸型と写真のようなトラック状のものがあり、カートの反対側は丸型コネクターになっているものもある

 スイッチひとつで手間なく温められるのだが、コネクターの接触不良などで温まらない場合もあり、飛行機がこの方式に対応している必要があるため、まだ主流にはなっていないという。

 もう1つは古くからあるスチームオーブンを使って温める方式だ。最近家電で話題の過熱水蒸気オーブンと同じ原理で、150度程度のスチームでメインディッシュだけを温めるという方法だ。

スチームオーブンを使う場合は、温めるトレイをこのようなコンテナにセットする。1つのコンテナで28人分を温められる。ちょうどカート1台でコンテナ2つぶん

機内の調理場(ギャレイ)に搭載されているスチームオーブン。温度は150度にセットされている

ドアを開くと先のコンテナがすっぽり入っているのがわかる。こんなにコンパクトなのに1回で28食も温められるとは!

 このスチームオーブンはどの飛行機にも搭載されており、一番ポピュラーな加熱方法だが、CAが1人1人のトレイをセットする手間がかかるのが難点だ。なお大型機の機内後方の広いギャレイには、このスチームオーブンが7台ほどあるので、一度に200人分を加熱できるということだ。

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