すべての料理をトレイにセットして
冷蔵・ローディング
ファーストクラスのように料理が1品1品提供されないビジネスクラスやエコノミークラスの食事は、盛り付けキッチンで作られたお皿をミールセット室で1人用のトレイにセットする。
さてできあがったら、さっそく飛行機に積み込みたいところだが、食の安心と安全を確保するために、カートごと冷蔵庫に入れて冷やす。規定も厳しく定められ、4時間以内に食品内部が4度以下にならなければならない。
肉料理などはあらかじめブラストチラーで冷やされているので、ここではカートが何百台も入るような巨大冷蔵庫で出発便を待つ。庫内温度は3度に設定されているようだ。
さて出発時刻が近づくと、いよいよ飛行機への積み込みが始まる。CAの準備などもあるため、だいたい出発時刻の1時間前に積み込み終えるようにしているという。搬出口にはゲート番号が割り振られていて、そこにトラックのケツを直結してカートの積み込みを行なう。
写真は飲み物や機内サービスに必要な品々のみで、食事は含まれていない。それでもゲート前には大量のカートが並ぶ。通常は食事も込みでトラック1台で積み込めるが、大型機だとトラック2台分(=2ゲート分)を機内に積み込むそうだ。
出発前まで巨大冷蔵庫で冷やされ
機内では200食を一気に温める
さて徹底した温度管理で冷やされた状態のまま飛行機に積み込まれた機内食。しかし機内では温かい食事が提供される。
ファーストクラスなどでは、個々を電子レンジなどで加熱する場合もあるが、旅客の多いエコノミークラスの食事をレンジで数個ずつ温めていてはラチが空かないどころか、目的地に到着しかねない。なので飛行機には、電子レンジ以外に2種類の加熱方法がある。
1つは配られるトレイの一部にヒーターが仕込まれていて、カートにあるコネクターを飛行機に接続、スイッチONするとヒーターが温まるという方式だ。
スイッチひとつで手間なく温められるのだが、コネクターの接触不良などで温まらない場合もあり、飛行機がこの方式に対応している必要があるため、まだ主流にはなっていないという。
もう1つは古くからあるスチームオーブンを使って温める方式だ。最近家電で話題の過熱水蒸気オーブンと同じ原理で、150度程度のスチームでメインディッシュだけを温めるという方法だ。
このスチームオーブンはどの飛行機にも搭載されており、一番ポピュラーな加熱方法だが、CAが1人1人のトレイをセットする手間がかかるのが難点だ。なお大型機の機内後方の広いギャレイには、このスチームオーブンが7台ほどあるので、一度に200人分を加熱できるということだ。