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個人レベルでの警戒を呼びかけ

カスペルスキー、インターポールとの連携でサイバー犯罪の撲滅目指す

2013年11月28日 20時03分更新

文● 菅谷/ASCII.jp編集部

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ユージン・カスペルスキー氏(左)と中谷昇氏(右)。カスペルスキーとインターポールが連携してサイバー犯罪の撲滅を目指す。

 カスペルスキーは11月28日、「最新のサイバー脅威についてのプレスセミナー」と題したメディア向けのセキュリティセミナーを開催。カスペルスキーCEOのユージン・カスペルスキー氏とINTERPOL Global Complex for Innovation(IGCI)総局長の中谷昇氏のパネルディスカッションを中心に、サイバー犯罪の脅威について解説した。

カスペルスキーとインターポールの連携

 冒頭のあいさつでカスペルスキー代表取締役社長 川合林太郎氏は「カスペルスキージャパンは今年で9年目。そのころはサイバー犯罪は一般的でなく、どこか遠いところのような話だった。その感覚は今もあまり変わっていないかもしれない。しかし、一方で攻撃は増えている」と日本の現状について指摘。実際に日本の企業などを標的とした攻撃も増えているという。サイバー犯罪増加には、インターポールとカスペルスキーの連携の理由の1つでもある捜査の難しさという背景がある。

 川合氏のあいさつの後は、カスペルスキー氏と中谷氏のパネルディスカッションに移行。サイバー犯罪が増えている理由についてカスペルスキー氏は、大きく3点をあげて説明する。1点目が収益性が高いこと、2点目が従来の犯罪より簡単で直接手を触れる必要がないこと、そして3点目がインターネットに国境がないことをあげる、犯罪者は容易に外国で犯罪することができ、そのため自国の警察には把握できないのだという。インターポールとの連携は3点目の状況を改善するという狙いがある。

 中谷氏も「サイバー犯罪者は新しいものを何でも試す。しかし、執行機関は予算を要求しなければならず、新しいものにはすぐに対処できない。予算が通ったころにはサイバー犯罪には新しい技術ができている」と現状でのサイバー捜査の困難さを説明し、今までの犯罪捜査を変えざるを得ないと考えていることを話した。

 カスペルスキーは、現在のインターポールにはできない悪意のある攻撃の分析などの専門的な作業をし、情報をインターポールに提供している。また、インターポール加盟国の中にはサイバー犯罪に対応する機関がない国が半分以上あるという。インターポールとしては、今後加盟国の犯罪捜査能力を高めること、サイバーインテリジェンスを操作能力に結び付けること、国際的な法制度を作る必要性を考えているとした。

パネルを交えて解説

サイバー犯罪対策の困難さ

 サイバー犯罪の捜査・撲滅の困難さについては、銀行強盗を例に挙げて説明された。銀行強盗は実行した際に防犯カメラなどで写真や映像を撮られ、以降ずっと追いかけられることになる。また失敗すればその場で捕まることになる。しかし、サイバー犯罪では直接現場に行く必要がなく捕まる可能性が低いという。また失敗してもその場で捕まることはない。そのため反復可能性が高いとしている。

 冒頭の川合氏のあいさつにもあったように、日本においてまだサイバー犯罪に対する危機感は強くはない。このような日本の状況についてカスペルスキー氏は「日本はもはやガラパゴスではない。過去は言語の違い、携帯電話の独自の技術発展があったが、今は違う。サイバーの世界でも日本はつながっている。それを忘れないようにしてほしい」と警鐘を鳴らす。

 個々人の意識については中谷氏からも言及があり、「ネットにつないでいるときは海外に行っているという意識を持つ。日本人は海外に行くときにすら用心しない、脅威への認識が低い」と話す。政府レベルでは力を入れ始めたが、企業・個人レベルではまだ心もとないという。カスペルスキー氏は、個々人でできる対策としては、製品とテクノロジーを利用することと、自分自身は自分で守るという意識を持つことをあげる。

世界を救いたい

 「We’re here to save the world from IT Threats(IT上の脅威から世界を救うために我々は存在する)」、カスペルスキーの企業理念である。中谷氏によると、他のセキュリティー企業にも連携のアプローチをしているが、最も早く最も強くレスポンスしたのがカスペルスキーだという。「去年の12月に雪の降るモスクワで初めてカスペルスキー氏に会った。カスペルスキー氏は会ったその日にサポートを約束してくれた」と感謝を示す。

 サイバー犯罪者は、捕まるときに大きな驚きを示すという。自分が捕まるはずがないという思いからだと中谷氏は指摘する。サイバー犯罪の捜査の困難さを表すエピソードだ。インターポールとカスペルスキーを筆頭としたセキュリティー企業の連携により、サイバー犯罪の捜査に変化はあるのか注目したい。

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