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T教授の「戦略的衝動買い」 第270回

スイス国有鉄道の公式腕時計を衝動買い!

2013年11月20日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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58秒で一周する独特の動き

 stop2goのなによりの特徴は、赤い秒針とボールドの分針のユニークな連携動作だろう。一般的な腕時計は、その駆動方式が手巻きであれ、クォーツであれ、秒針が文字盤を一周する60秒の間に、その動きの進度に応じて分針も徐々に回転移動していくのが普通だ。

一般的な腕時計は秒針が30秒を過ぎると、分針も進み、分と分の間を指すのが普通だ

一般的な腕時計は秒針が30秒を過ぎると、分針も進み、分と分の間を指すのが普通だ

stop2goは秒針が1週まわって12時位置にきて、初めて分針が1分進む構造だ(写真はまさに分針が動作する寸前を撮影した)

stop2goは秒針が1週まわって12時位置にきて、初めて分針が1分進む構造だ(写真はまさに分針が動作する寸前を撮影した)

 秒針が30秒位置を経過した時点では、腕時計の分針は分と分の中間辺りに位置しているはずだ。これは極めて正しい動作のようにも思えるが、鉄道を代表とする交通手段の出発時刻や到着時刻には、基本的に“秒”は関係のなく“分”が起点であり、タイムテーブル上では単位の最小値だ。

クォーツ方式なのでリューズは回すことは無く、モーター駆動の分針を前進・後退させるためのスイッチとして前後に捻るだけの機能だ。リューズを引き出すと秒針は12時位置に移動して停止する。リューズを捻って時刻を合わせ、押しこめば時刻設定は終了だ

クォーツ方式なのでリューズは回すことは無く、モーター駆動の分針を前進・後退させるためのスイッチとして前後に捻るだけの機能だ。リューズを引き出すと秒針は12時位置に移動して停止する。リューズを捻って時刻を合わせ、押しこめば時刻設定は終了だ

 一方、時刻の表示形式がアナログ形式ではないデジタル時計では、分の表示が繰り上がり変化するのは、秒表示が59秒から1秒繰り上がって00秒になった瞬間だ。stop2goは、デジタル腕時計のような表現形を実現した世界で唯一のアナログ表示なのだ。

 stop2goはユニークな腕時計の固有名詞とされているが、本来は、この腕時計の持つ特徴的な運針方法を指す言葉でもあるのだ。stop2goの秒針と分針は我々が見慣れている時計とは異なる動作をする。

秒まできちんと合わせた2台の腕時計(左がグランドセイコーGMT、右がstop2go)。stop2goは58秒で秒針が1周していることがだいたい理解できる

秒まできちんと合わせた2台の腕時計(左がグランドセイコーGMT、右がstop2go)。stop2goは58秒で秒針が1周していることがだいたい理解できる

 まず秒針は60秒で文字盤を一周するのではなく、2秒少ない58秒で一周する仕組みだ。要は秒針は普通の時計よりほんのすこし速い動作で文字盤を回っている。そして秒針は12時位置で2秒間停止する。その間に分針が1分進み、続いて秒針が再稼働する独自の仕組みだ。

 上の動画は、左から「グランドセイコーGMT」「stop2go」「グランドセイコーSPRING Drive GMT」の動作を撮影したもの。stop2goはSPRING Driveと比較すると、文字盤を滑るように秒針が移動する「スィープ運針」とは異なり、小刻みな運針方式だ。秒針が正時(12時)を指した時の分針の動作がstop2goの最大の特徴だ。

 このstop2go機能を実現するため、モンディーンは長い開発期間をかけて、2つのモーターのそれぞれが秒針の動作と分針の動作を受け持つユニークなクォーツムーブメントである「cal.58-02 stop2go」を開発した。

 そして2つのモーターを独自のICで連携動作させるため、SUUNTO(スント)腕時計などにも採用されている大容量のCR2032リチウムボタン電池を採用している。

新しい時計の楽しみ方を得られる!

 当初は本年9月発売の予定であったが、実際には11月になって出荷がはじまったモンディーンのstop2go。ごく普通の人の日常生活に必要な機能かどうかは別にして、何百年も変わりのない時計の世界に新たな楽しみを提供したユニークな腕時計だ。

 現在、時刻を知るだけならスマホで十分な時代だが、スマホでは語れない“時”という存在のウンチクを楽しめ、同時に持つ喜びを味わえるこだわりのある人には理解できるユニークな腕時計だ。

■関連サイト

T教授

今回の衝動買い

アイテム:stop2go

価格:ティーエス・ホリウチにて7万5000円で購入


T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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