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徹底特集 「iPhone 5s」&「iOS 7」を全力チェック! 第16回

ファッション性でiPhone 5cか、将来性でiPhone 5sか、あなたの個性をビビッドに表す2つの新型iPhone

2013年09月18日 10時01分更新

文● 林信行

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未来への「伸びしろ」を作るふたつの世界初プロセッサー

 ここまでの紹介で、十分満足するユーザーも多いかもしれないが、実はiPhone 5sの魅力の氷山の一角でしかない。見た目は従来のiPhone 5とあまり変わらないiPhone 5sだが、来年の今頃には大きな差が開いているかもしれない。

 というのも、iPhone 5sには、これから対応アプリなどの登場でじわじわと差が出る先進技術が凝縮されているからだ。

 そのひとつが64bitの「A7」プロセッサー、スマートフォンでの64bit CPUは世界初となる。

 そして、もうひとつはまったく新しい概念のモーションプロセッサー、「M7」。これも世界初だ。

 このふたつの世界初が、これからiPhoneの地平を大きく切り開くはずだ。

スマートフォン初の64bit「A7」プロセッサー

 実は、一般的な32bit CPUでは、本来メモリーを4GBしか扱えないはずで、それをうまくやりくりして巨大なフラッシュメモリーを扱っていたが、64bitのA7ではこれが実質無制限になる。具体的には16EB(エクサバイト)ものメモリーを扱えるようになる。ギガバイトの1024倍がテラバイト、その1024倍がペタバイト、その1024倍がエクサバイトだ。

64bit CPU「Apple A7」

 一度に処理できるデータ量も最低で2倍になる。実際、A7は旧IPhone 5やiPhone 5cが搭載する高速CPUの「A6」と比べて最大2倍のパフォーマンスを発揮する。

64bit CPUであるApple A7は、初代iPhoneの最大40倍高速だという

 この高速処理が、例えばカメラのオートフォーカススピードの向上など随所に活きているのだ。

 A7は、またOpen GL ES version 3.0という3D関連の技術をサポートしている。このため同技術を使う3Dゲームでは霧や煙、水しぶきなどの描写もより写真のようにリアルに変わるはずだ。

未知の可能性を秘めるモーションプロセッサー「M7」

 もっとも、未知の可能性を秘めていそうなのがモーションプロセッサーの「M7」だ。iPhoneにはこれまでにもGPSや加速度センサー、コンパスなど、利用者の動きを把握するさまざまな要素技術が搭載されていた。M7は、これらのセンサーから入ってきた情報を統合し、ユーザーの行動をリアルタイムでより細かく正確に分析しCoreMotionというAPIを通してアプリに教えてくれるプロセッサーだ。

モーションプロセッサー「M7」

 「そんなことをして何の得があるのか?」と思う人もいるかもしれないが、iOSの標準マップで目的地を設定した後、タクシーに乗り、しばらくして降りたというシーンを想像してみよう。タクシーに乗っている間は一般的なナビだったが、車を降りて歩き出した途端に歩行者向けのナビに切り替わったりするのだ。

 その間、iPhoneには一切操作を加えていない。iPhoneが勝手に、ユーザーが車を降りて歩き出したことを認識して対応したのだ。

 同様に、街中にたくさん溢れている電話会社の公衆無線LANサービスの利用シーンを挙げておこう。1ヵ所に腰を落ち着けている間は便利だが、電車や車の移動中に接続してしまうと不意に途切れたりつながったり、インターネットが利用しにくくなってかえって煩わしい。

 iPhone 5sなら、M7がユーザーの動きを感知して、乗り物で移動中だとiOSに教え、公衆無線LANへの接続をしないように自動的に設定を切り替えてくれるのだ。

 これはバッテリーの消費を抑えて、より効率的に適切なタイミングでGPSなどのバッテリー消費の激しい通信を行なう、という点でも有望な技術だ。

 今後、このプロセッサーがどんなことに利用されるかは、まだ不明な点も多いが、すでにNikeなどがアプリの開発を表明しており楽しみだ。

 ただし、このM7が普及してしまうと、少なくとも散歩やジョギングの歩数など起きている間の活動量を量る活動量計(最近、流行の運動量を計る腕時計型デバイス)と直接競合する部分が増える。

 いずれにせよ、A7とM7のふたつのプロセッサーは、iPhone 5sという製品に大きな伸びしろを与えてくれそうだ。

 新しい技術を加えるよりも、ファッション性を進化させ、さらに価格を手頃にしたiPhone 5cと、見た目はほとんどそのままで中身に未来への布石を詰め込んだiPhone 5s。

 この、どちらを選ぶかで(あるいは他を選ぶことで)、世の中に訴えるあなたの個性や姿勢を反映することになる。そういう意味では、今度のiPhoneは恐ろしい端末かもしれない。ただそれだけに、おそらくほとんどの人が、迷うことなく「自分はこちらの機種だ」という結論をすでに出していることだろう。

 そうなると大事なのは、人気のiPhoneに価格帯的にも、色のチョイス的にも大幅に選択肢が増え、その上で電話会社の選択肢も広がったことで、自分用の新Phoneを一体どの色で、どこの通信会社との契約で買えばいいかだろう。

 一般に、何かを買う場合は、すぐには手を出さず購入者の声にじっくり耳を傾けてから購入するのがもっとも賢明なはずだが、悩ましいのは、これまでのiPhone発売を振り返ると、新しいiPhoneが発売開始から数ヵ月はかなり入手困難な状態が続くことだろう。この部分でどうするかは筆者があなたに代わって判断することはできない。

 ぜひとも慌てずに、もっとも満足度が高い選択をしてもらえれば、と思う。


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