
本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
64bit CPU「Apple A7」のインパクト
日本時間の9月11日未明、「iPhone 5c」と「iPhone 5s」が発表された。既報のとおり、5cがポップテイストモデル、5sが先端機能追求モデルと位置付けられ、どちらも9月20日に発売開始される。日本では今回からNTTドコモも取り扱いを開始するため、販売台数の増加が予想される。販売方法や取り扱い店舗などの詳細な情報は、各キャリアから追って発表される予定だ。
5色のカラバリや800MHzのLTE対応もあり、iPhone 5cはバリューフォーコストの高い端末に仕上がっているが、当コラム的に注目すべきは、やはり先進機能を追求したiPhone 5sということになる。ホームボタンに内蔵された指紋認証機構「Touch ID」、F値2.2の明るいレンズと連写機能を備えたiShightカメラ(背面カメラ)、各種センサーを駆動するコプロセッサ「M7」は、それぞれワンテーマでコラムを数本書けそうな内容の濃さがある。
なかでも興味深いのは、64bit CPU「Apple A7」だ。AppleのCPUがベースとしているARMのロードマップを見ると、現行アーキテクチャであるARMv7(Apple A6はここに含まれる)の次には、64bit拡張が施されたARMv8が計画されているが、スマートフォンへの採用はまだ先の話。Apple A6から独自設計のCPUコアを採用し始めたAppleが、その勢いでARMv8アーキテクチャを他社に先駆け実装したと考えてよさそうだ。
A7に関する情報は少ないが、発表会のスライドにあった「Over 1 billion transistors」と「102mm2 die size」(A6は約96.7mm2)という記述をつなぎあわせると、同等のダイサイズにA6の約2倍となるトランジスタを搭載していると分かる。新CPUは20nmプロセスで製造されるという噂を以前耳にしたことがあるが、それが事実であれば腑に落ちるスペックだ。
一方、搭載されるメモリ(RAM)について言及されなかったことが気がかりだ。同じカーネル(xnu)を採用するOS Xも、32bit環境から64bit環境への移行を経験しているが、64bit環境では若干(経験でいえば10%前後)メモリ消費量は増加した。iPhone 5sにも、できれば2GB以上欲しいところだ。

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