「1万円以下のスピーカーだとは思えない!」
一聴してそんな感想が浮かんだ。低・中・高域ともにバランスがよく、不自然な加工感のない上品な音質だ。中域の表現力は特に秀でており、ボーカルの息継ぎや息づかいがはっきりと鮮明に感じられる。音の分解性能が高く、互いに干渉し合わずに真っすぐに届いてくる音が印象的。
ドライバー径は50mmだが、サイズを感じさせない余裕や含みも持っている。また、正面に座ってじっくり耳を傾けると、スピーカーを中心とした上方にひかえめな音場ができあがっているのが感じられる。派手なサラウンド効果はないが、分解性能の高さと臨場感の実現を見事に両立した(しかも5980円前後で)点はさすがJBL。
低域の再現性能も高い。無闇に強調することのない低音は聴いていて耳に優しく、かつ迫力もそなえている。好みが分かれるのは、強いていえば高域だろうか。かなり明瞭に聴こえるので、ハイハットや摩擦音が多少気になる人もいるかもしれない。ただし決して耳障りではなく、全体的に見れば優しいまろやかな音だ。
環境ノイズがほぼ感じられず、曲によって録音時に入ったと思われるノイズが時折聴こえるのは、USB DAC内蔵スピーカーならではだろう。簡易的なサウンドチェックやモニター用途にも使えると感じた。
音量は、電源ボタン兼用のロータリー状コントローラーで調節する。(PCに接続すると自動的に出力装置に設定されるため、PC側の音量と連動する)コントローラーを回す際には微妙なクリック感があり、急激に音量が上下することのないよう配慮していることが分かる。
USBのほかに外部入力端子として3.5mmミニプラグを設けているため、普段はPCにつないで使い、時折スマートフォンやDAPとアナログ接続するのもいいだろう。やはり多少音質は下がるが、十分実用に耐えるレベルだ。ちなみに、ミニプラグに機器を接続している際には、USB経由のデジタル信号はストップし、ミニプラグからの入力を優先して再生する仕様となっている。
リーズナブルでも音質は本格的
本格的なオーディオシステムと比べれば手軽に環境を用意できることもあり、徐々に盛り上がりを見せているPCオーディオ市場。本製品は、同価格帯のスピーカーの中では頭一つ抜きん出た音質といって差し支えないのではないだろうか。USB DACを内蔵したことに加えて奇をてらわない丁寧な音作りが、上質な音に結びついたのだろう。
PCオーディオ入門機としてはもちろん、もう少し上の価格帯のスピーカーのオーナーが「少し違った系統のが欲しいな」と感じた際にもおすすめできる製品だ。リーズナブルで音質の良いスピーカーとして、一定以上の評価を集めていくことが予想される。なお、カラバリとして記事で使用したブラックモデルのほかに、ホワイトモデルも用意される。好みに合わせて選びたい。
主なスペック | |
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製品名 | JBL PEBBLES |
インターフェース | USB端子×1、3.5mmステレオミニプラグ×1 |
ドライバー | 50mmフルレンジドライバー |
フォーマット | リニアPC(48khz/16bit) |
寸法/重量 | 約幅78×奥行き150×高さ132mm/約1kg |
価格 | オープン(実勢予想価格5980円) |