北の大地を舞台に繰り広げられる
北海道洞爺湖ラリー!
続いて7月6~7日、津軽海峡を渡って向こう側の北海道洞爺湖町を舞台に、第4戦「ARKラリー洞爺」が開催された。じつは筆者にとって、この洞爺戦へは選手時代を通しても出場したことが無く、これがまったく初めての経験だ。だから手元にほとんどデータが無く、事前に作戦の立てようが無い状態でイベントに臨むことになってしまった。
幸いだったのが、もともと北海道で腕を磨いたドライバーの桑田選手が、このあたりの地理について多少は知っていたこと。彼の経験と、ネットで流れている他の選手のインカー映像、それに公表されたアイテナリー(行程図)をもとに、コドライバー澤田選手とともにざっくりとした作戦を立ててみる。
アイテナリーによれば、今回のステージ構成は2日目のほうが走行距離は短いが、1本あたりのステージ距離は長い。また桑田選手によると、1日目は中低速セクションの多いステージが続くのに対して、2日目は比較的高速のステージが多いという。さらに、今回は北海道選手権との併催イベントで、全日本選手権は土日2日間の構成であるのに対して、北海道選手権は2日目の日曜日のみ走行することになっている。
これらの情報を総合すると、2日目の方が路面の荒れも酷くなる傾向にあり、また1日目に較べて平均車速が高く、アタックする距離も長い。こういうところでは小さなミスが大きなタイム差となってあらわれるため、勝負の焦点となりやすい。つまり今回の洞爺戦では、2日目でいかにスピードに乗せられるかが上位進出の鍵となるのだ。
作戦は決まった。1日目では上位陣からつかず離れずの位置をキープ。そして2日目の高速ステージ群において、全力いっぱいのフルアタックで一気にトップ勢の撃墜を狙うのだ!
そうして始まった洞爺の戦いは、序盤から驚くべき展開となる。SS1「SCALLOP」、ここで速報のトップに掲示されたのは、なんとわれらが諏訪姫ランサー! ここ「SCALLOP」はアスファルトとダートが交互に出現するステージで、舗装路を苦手とする桑田選手にとって鬼門となるステージだ。ここでは6番手以内に入れば御の字と思っていたけど、予想に反して諏訪姫ランサーがベストタイムを奪ってしまったのだ!
午前のセクションを終了して、総合トップはADVANランサーの13分27秒3。続いてCUSCOインプレッサ(柳澤宏至選手/中原祥雅選手組)の13分32秒2、マルシェランサー(石田正史選手/宮城孝仁選手組)の13分35秒3とつづき、諏訪姫ランサーはその後方、13分36秒4の4番手につけている。ここまでは事前に立てた作戦通りだ。午後の2ループ目もこの位置をキープして、明日のスパートで3位表彰台進出を狙ってみせる!
ところが、午後の2ループ目へと諏訪姫ランサーが旅立っていってから、1時間ほど経ったとき。不意に筆者の携帯電話が鳴った。「すいません、ラジエターを破ってしまって冷却水漏れが酷く、リタイヤしました……」
午後の2本目、SS6「SEA TANGLE」。フィニッシュまであと1kmを残すところにちょっとした沢渡りがあり、毎年多くのカメラマンが待ち構える名物ステージだ。あろうことか諏訪姫ランサーは、ウォータースプラッシュにスピードを殺しきれないまま突入。水圧でラジエター下部のマウントが破壊されて跳ね上がり、高速回転するラジエターファンがエキゾーストマニホールドに接触。折れ飛んだファンブレードがラジエターを内側から傷つけてしまったのだ。
何とかフィニッシュまで辿り着いた諏訪姫ランサーだったが、下を覗き込んでみると冷却水が激しく漏れていたという。このまま走り続けると早々に冷却水がゼロになり、エンジンが焼きついてしまう。マシンを守るためにも、クルーはここでリタイヤを選択するしかなかったのだ。
予備パーツの中にラジエターは無かったため、地元の「ガレージセキネン」チームと交渉してスペアを確保。サービスパークに戻ってきた諏訪姫ランサーの破れたラジエターと交換する。その間、ものの10分ほど。わずか10分で解消できるトラブルで、勝利の権利を失ってしまった。今回は序盤から絶好調だっただけに、悔しすぎる結果だ……!!
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