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評価キットを提供中のシステナに聞く

Tizenは海外勢に押される日本のモノづくりを復権するのか

2013年07月23日 08時00分更新

文● 小山安博

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大規模なバージョンアップが続くTizen

 現在、TizenはOSとしてはバージョン2.1となり、7月3日には2.2のβ版がリリースされている。開発のタイミング的に、今回のTizenタブレットでは2.0を採用したが、システナでは、今後2.1へのバージョンアップを行う予定で、2.2に対しての検証も続けていく。

Tizenタブレットのアルバムアプリ。拡大表示されているため、フォントやアイコンが大きくなっている

 OSとしてのTizenは、これまでのアップデートで「がらりと印象が変わった」(村田氏)という。2.0、2.1、2.2とアップデートを重ねており、特に2.0から2.1へのアップデートでは、「やれることが大きく変わっている」(同)という。バージョンアップが大規模でスピード感もあり、開発の「本気度が伝わってくる」と村田氏は指摘する。

 Tizen 2.0から2.1へのアップデートでは、さまざまな解像度への対応が追加されているそうで、開発したTizenタブレットでは、単純にアプリは拡大表示されてしまうが、2.1では元の解像度設定で表示されるようになっているそうだ。

 2.2β版に関してはまだシステナも検証途中だが、動作する機能が増えたことに加え、UI周りの変更が大きく、Tizenの「UX Guide」に沿った変更が加えられているようだ。

 とはいえ、システナは今回、タイミング的に2.0でのタブレット開発を行っている。スマートフォン向けOSとされるTizenで、なぜタブレットを開発したのかを問うと、淵之上氏は、「スマートフォンやタブレットという違いは意識していない」と話す。同社は、今年10月23日から開幕する「スマートフォン&モバイルEXPO【秋】」にこのタブレットを出展する予定で、出展時のインパクトや来場者が触りやすい端末ということで、タブレット端末にしたという。

 とはいえ、開発には苦労したと村田氏。2.0は、「成長途上のプラットフォーム」(村田氏)であり、開発機に導入しようとしても動かないなど「苦労は絶えなかった」(同)。ただ、「技術者としては壁を乗り越えて、待ち受け画面になったときは嬉しかった」と、開発の楽しさもあったようだ。

Tizen 2.0の待ち受け画面。現在、Tizen 2.1でも待ち受け画面までは到達しているそうだ

 そしてTizen 2.0タブレットを開発してみた結果、さまざまなことが分かった。大きなポイントとなるHTML5の強力なサポートがあるが、プラットフォームとしては、パフォーマンスや消費電力など、まだ弱い面があったという。しかし、Tizenにはネイティブアプリが利用できるというメリットがある。

 ユーザー目線で考えると、Webアプリだけでは「遅い」と感じられてしまう面があるので、それをネイティブアプリでカバーできるという。また、ネイティブアプリはデバイスの機能をセンサーなどを利用でき、より連携できるというメリットもある。

 「HTML5の成長を見ながら、パフォーマンスはネイティブアプリで補完できる」と村田氏。ほかのプラットフォームと変わらないパフォーマンスをネイティブアプリで実現しつつ、HTML5を活用できる点が「魅力的」(同)なOSだという。

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