シトリックス・システムズ・ジャパンは7月10日、東京で「シトリックス4都市キャラバン 加速するモバイルワークスタイル」の皮切りとなるイベントを開催した。同日より国内提供が開始された3つの新製品(関連記事)のデモが披露されたので、改めてその特徴を見てみたい。
XenApp統合などシンプルになったXenDesktop 7
デスクトップ仮想化製品のXenDesktop 7は新しいアーキテクチャ「FlexCast Management Architecture」に刷新され、これまで別に実行環境を用意する必要があったXenAppが統合されている。多数存在した管理コンソールも、仮想デスクトップ/仮想アプリケーションの導入と展開のための「Studio」、監視とサポートのための「Director」の2つだけとシンプルなものになった。
機能面では、新たにH.264ベースの圧縮ストリーミング技術「HDX Mobile」が採用されている。この技術によってトラフィック効率が高まり、3G回線の帯域幅でもフルHD画質のビデオ再生がストレスなく表示されるようになった。
また、3D CADや動画編集など高度なグラフィックスを必要とするデスクトップ環境向けに、NVIDIAの仮想デスクトップ向けGPU技術「GRID vGPU」とXenDesktop 7を組み合わせたデモも披露された。従来ワークステーションでの作業が必須だったものが端末を選ばなくなり、デザインレビューなどをワークステーションの設置されていない会議室でできるようになるといったユースケースが説明された。
“業務専用アプリ”で情報を守るXenMobile
企業モバイル環境の統合管理製品であるXenMobileは、MDM(モバイルデバイス管理)機能だけでなく、アプリやデータまでを包括的に管理できる基盤となっている。
特に注目されるのは「Worx App」と呼ばれる“業務専用”アプリが用意されている点だ。Worx Appは独自のモバイルコンテナで分離/保護されており、一般の(ユーザーが私用で使うような)モバイルアプリとのデータのやり取りを制限することができる。
たとえば、ほかのアプリからWorx Appのデータを参照したり、Worx App上のテキストをほかの(一般の)アプリにコピー&ペーストしたりすることを禁止することが可能だ。また、デバイス単位ではなくアプリ単位でVPN接続ができるため、デバイス上の不正なアプリがVPN経由でネットワークに侵入するようなリスクを回避できる。こうした仕組みによって、ユーザーの私物端末を持ち込むBYODを容易かつ安全に実現できる。
Worx Appはシトリックス自身が提供するもの(メール、ブラウザ、ShareFileクライアント)のほか、アドビ、シスコなど80以上のアプリベンダーが提供する。またSDKも提供されており、「コードを1行追加するだけで」(同社)既存のアプリもWorx Appにすることができるという。
なお、もう1つ発表されたファイル共有基盤「ShareFile」は、同社が「企業ユースを念頭に開発した」製品で、PCやモバイルデバイスなどあらゆる環境から自分のファイルにアクセスできるほか、関係者とのファイル共有も容易にできる。「Windows Azure」などのパブリック・クラウドのほか、オンプレミスのNASや「SharePoint」サーバーなどをバックエンドのストレージにできることが説明された。