主婦の2人に1人がスマホを使っている──。凸版印刷が先月発表した主婦のスマートフォン利用実態調査によると、全体の48.7%がスマホを所有しており、ガラケー(フィーチャーフォン)の49.1%とほぼ同じ水準だという。同調査では、各キャリアの夏モデルのほぼ全てがスマホとなる中で、主婦の間でもスマホの利用は高まると見ている。
主婦層へのスマホ普及のカギを握っているのは、O2O(オンライン・ツー・オフライン)サービスだ。先の調査では70.4%が「マクドナルドアプリ」や「ぐるなび」、「LINEクーポン」をきっかけに実店舗へ足を運んだことがあると回答。O2Oを促進するサービスとしては、スーパーやドラッグストアのセール情報が得られるシュフーの「シュフーチラシアプリ」、NTTドコモの写真や動画が保存できるクラウドサービス「フォトコレクション」など、主婦/家庭をターゲットにしたサービスが続々と登場している。
一方で、キングジムのスマホ向けアプリの開発代行サービス「アプスタ」のように、小規模の飲食店や販売店でも気軽にO2Oサービスが展開できる土壌も整ってきた。
スマホを軸にしたビジネスやサービスが増える中で、安倍晋三首相を取り巻く経済団体の勢力図にも変化の兆しが見えつつある。楽天の三木谷浩史会長兼社長が代表理事を務める「新経済連盟」との関係が急速に深まっているからだ。
政府が示した成長戦略(日本再興戦略)は規制緩和によって、国内で滞留しているヒト・モノ・カネを一気に動かし、デフレの脱却につなげることが狙い。これは新経連の考え方と合致する部分もある。実際、成長戦略には一般用医薬品のネット販売の解禁も盛り込まれている。またネット選挙解禁では、SNSの投稿分析や政治家専用のホームページを制作するサービスといった新規ビジネスも生まれている。
IT企業をはじめとした新興企業にとって、規制緩和は大きなビジネスチャンス。EC市場は前年比8.6%増の8兆5000億円市場(2011年)と着実に成長している。消費者のオンラインからオフラインまでを握ることが次の成長エンジンだと、IT業界ではもはや常識。アベノミクスでIT業界にいかに利益を誘導するかは、新経連の活動が鍵を握っている。