広がる固定事業者との提携、3年後の成功のカギとなる
現在、提携している固定系提携事業者は、FTTHで5社、CATVで106社189局となっており、世帯カバー率は約80%にまで拡大。今年7月以降、エネルギア・コミュニケーションズとの提携によってCATV事業者との提携を拡大。さらに、エリアを広げることができる。こうした固定事業者との連携も、auスマートバリュー契約数の増加を支えていることになる。
KDDIでは、2013年度からの3ヵ年を、「新たなステージ」と位置づけ、「本格的な利益拡大へ」とする方向性を打ち出す。
具体的には、連結営業利益において、3ヵ年に渡って毎期の2桁成長、EPS(1株あたり当期純利益)での大幅成長のほか、株式還元として、配当性向(利益を株主に配当する割合)で30%以上などをあげる。
毎期2桁成長という大きな目標において、初年度となる2013年度は、営業利益、EBITDA、当期純利益のすべてにおいて、「20%超の利益成長を目指す」とする。
これには、J:COMが2013年4月から連結化した影響が大きく、2013年度連結業績見通しは、営業収益が前年比13.0%増の4兆1400億円、営業利益は22.9%増の6300億円、経常利益は20.5%増の6200億円、当期純利益は22.2%増の2950億円とし、さらにEBITDAでは20.9%増の1兆1600億円を目指す。
J:COMを除いた場合は、営業収益は前年比3.2%増、営業利益は11.2%増、当期純利益は35.4%、EBITDAは5.8%増となり、この数字からも、2桁伸張達成には、J:COMなしには実現しえないことがわかる。
この点は、田中社長も認めている。
問題は2年目以降だ。
田中社長は、2013年度に、モバイル通信料収入が5期ぶりに増収に転換すること、固定通信料収入は持続的な増収フェーズへと入ることを利益拡大要因にあげ、「auスマートバリューによる新規顧客開拓、スマホシフトによるARPUの拡大、これに付加価値ARPUが乗ってくる。これらが、2年度目以降の利益成長のドライバーになる」と語る。つまり、auスマートバリューを核とした顧客拡大策が、今後3ヵ年の成長の鍵になる。
「auスマートバリューは、これからも、さらに磨き、深化させていきたい」と田中社長。auスマートバリュー戦略は、KDDIの今後の成長にとって、これまで以上に重要なものになりそうだ。
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