最新セキュリティ製品で標的型攻撃を防げ! 第16回
攻めの防御を提供する「Spotlight Secure」を発表
次世代セキュリティ製品の不名誉を返上するジュニパー
2013年04月17日 09時00分更新
4月16日、ジュニパーネットワークスは攻撃者をデバイスレベルで特定可能な新クラウドサービス「Spotlight Secure」と、同サービスに対応するデータセンター向けセキュリティ製品を発表した。Webアプリケーションに対する不正操作を素早く検知して相手のWeb画面上に警告を出すなど、サイバー攻撃に対する“攻め”の防御を展開できる。
セキュリティ機能が使われていない
次世代セキュリティ製品
「Junos Spotlight Secure」は、クラウドベースの攻撃者情報サービスだ。Webブラウザーの設定(使用言語、タイムゾーン、フォント、プラグインなど)を含む200以上の属性情報をもとに攻撃者のプロフィール(フィンガープリント)を作成し、Webアプリケーション保護製品「WebApp Secure」(旧Mykonos)、DDoS攻撃対策製品「DDoS Secure」、ゲートウェイ製品「SRXシリーズ サービスゲートウェイ」と共有して攻撃を未然に防ぐ。
「1年半にわたって開発に取り組んできた」と話すジュニパーネットワークス セキュリティ・ビジネス部門 プロダクト・マネジメント シニアディレクター ケビン・ケネディ氏は、IPアドレス以外の詳細な情報を収集することで攻撃者を特定し、正規ユーザー以外を確実にブロックする防御ソリューションと説明する。
今回の開発にあたり、ジュニパーネットワークスは調査会社Ponemon Instituteの協力の下、次世代ファイアウォールやWAF、IPSなどの有効性について、運用管理者を中心にグローバルで4774名(日本は577名)にアンケート調査を実施した。その結果、半数以上は期待以上の効果を発揮していないと回答し(グローバルは56%、日本は54%)、未知の攻撃やWebアプリケーション攻撃などへの対応が不十分と答えた。
特にケネディ氏が注目したのは、約半数が次世代ファイアウォール製品を導入しているにも関わらず、アプリケーションコントロールやURLフィルタリングといった次世代ならではの機能を、セキュリティとして有用ではないとした点だ。WAFに至っては、導入している37%の日本の回答者のうち、ブロックモードで利用していると答えたのは37%で、全体ではわずか14%に止まった。「理由は、正規のユーザーまでブロックしてしまう誤検知率の高さ。しかし、調整するにも複雑なポリシー設定が必要だ」(ケネディ氏)。
警告画面で攻撃者の“やる気”を打ち砕く
こうした次世代セキュリティ製品の“不名誉”を返上し、デバイスレベルで特定された攻撃者情報を共有することで、最小限のチューニングで0%に近い誤検知率を実現するのが、Spotlight Secure含む製品群だ。
たとえば、WebApp Secureでは、URLのパラメーターを入力してWebアプリケーションの脆弱性を探すといった不正行為を検知すると、警告とともにブロックする。スクリプトで自動実行された場合も、Intrusion Deceptionテクノロジーを用いて偽のデータを提供しながら処理速度を一気に落とし、相手を苛立たせると同時に侵攻を完全に止める。攻撃者の情報は記録され、Spotlight Secure経由でフィンガープリントとして共有される。
この仕組みは、誤検知を下げるのはもちろんのこと、攻撃者に警告を出すことで再犯防止に役立つとケネディ氏は言う。「誤検知を考えると、防御の壁をひたすら高くすることは難しい。ただし、攻撃者に犯罪行為が無駄であると示し、止めさせることはできる。ハッキングの経済性を崩すことで、セキュリティ全体の底上げが期待できる」(ケネディ氏)。
この連載の記事
-
第20回
TECH
標的型攻撃には相手の“やる気”を削ぐのが一番! -
第19回
TECH
日本ラッド、タイガーチームサービスの脆弱性診断開始 -
第18回
TECH
2社に1社はボットに感染!チェック・ポイントのレポート -
第17回
TECH
各国から攻撃! おとり水道制御システム、公開18時間で標的に -
第15回
TECH
マルウェア検知率100%を目指すマカフィーのサンドボックス -
第15回
TECH
標的型攻撃対策ではプロの常駐支援もあり? -
第14回
TECH
未知の脅威を防ぐ!サンドボックス搭載の新Software Blade -
第13回
TECH
ファイア・アイ創業者が語る国家レベルのサイバー攻撃 -
第12回
TECH
標的型攻撃を高精度で検出するNTT Comの「SIEMエンジン」 -
第11回
TECH
標的型攻撃に包括的な対策を提供するFortiOS 5.0 - この連載の一覧へ