ジュニパーネットワークスは10月3日、SDN(Software-Defined Network)ソリューション「Juniper Networks Contrail」の販売開始を発表した。BGP、MPLSなどの標準技術/プロトコルを基盤として、物理ネットワークともシームレスに融合する仮想ネットワークを構築、運用できる。またオープンソース版「OpenContrail」の提供も発表した。
Contrailは、ジュニパーが昨年(2012年)11月に買収したContrail Systemsの技術を取り入れたSDNソリューション。x86ベースのクラウド環境において、ハイパーバイザ組み込み型の仮想ルータ(vRouter)間をMPLSトンネル(GREまたはVXLAN経由)でつなぎ、仮想ネットワークを構成する。
SDNコントローラは仮想ルータだけでなく、マルチベンダーのスイッチ/ルータの制御にも対応している。これにより、既存の物理ネットワークに影響を与えることなく、迅速なSDNへの移行を実現するとしている。またアナリティクスの機能も備えており、Webインタフェースから仮想ネットワークの状態が監視できる。
ジュニパーではContrailに関して、「OpenStack」「CloudStack」「IBM SmarterCloud Orchestrator」など幅広いオーケストレーターとのパートナーシップを結んでおり、ContrailのREST APIを介してクラウドと仮想ネットワークの管理統合を図っていく。
また、ネットワーク利用者のニーズに応じてさまざまなサービス(ADC、WAN最適化、セキュリティなど)を動的に付加する「サービスチェイニング」の実現に向けて、16社とのパートナーシップも発表している。今後、各パートナーとの相互接続性の検証を進めるとともに、さらにこのエコシステムを拡大していく方針。
ジュニパーのサービスプロバイダービジネス統括本部 営業開発本部 チーフアーキテクトの長滝信彦氏は、ContrailはGBP、MPLSなど実績のある技術で構成されており、「SDNとしては新しいことをやっているように見えるが、アーキテクチャとしては枯れている」と述べた。
商用版Contrailは永久ライセンスまたは1年間のサブスクリプションライセンス(コントローラのCPUソケット単位)として、オープン価格で提供される。
なお、ジュニパーではContrailをオープンソース化し「Open Contrail」として公開した。Contrailを構成するソフトウェア(バイナリ、ソースコード)をWebサイトで配布している。こちらは無料で利用できるが、コミュニティベースでのサポートとなる。