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今こそ見直したいバックアップとDR 第1回

データ消失はビジネスや情シスにどんな影響を与える?

御社は大丈夫?バックアップがない企業はこうなる

2013年03月13日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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データ消失で情報システム部が負う負荷とは?

 また、データ消失によって情報システム部が負わなければならない負荷も大きい。コンピューターを管轄している限り、データ消失のような事態の責任はやはり情報システム部やIT管理者に帰することになる。当然、経営側から説明を求められるし、サーバーの利用部門からの問い合わせに対応し、可能な限りデータを元に戻すよう依頼される。

 HDDの故障であれば、復旧サービスでデータを戻せる可能性があるが、コスト的に大きな負担になることは間違いない。それでも戻せればよいが、ユーザーの誤操作やマルウェアの悪事であれば、データが復旧できないことも多い。いずれにせよ、情報システム部への信頼は地に落ち、担当者においても心理的に大きな負荷になってしまうだろう。

いったんデータが消失した場合、情報システム部には大きな負担になる

 このようなデータ消失の危険性と影響を鑑みれば、コンピューターシステムの運用においては、今さらながらバックアップはシステム運用において必須のオペレーションになることは明らかであろう。重要なのは、取得したバックアップから、データやシステム自体を確実にリカバリできること、そしてなるべく最新のデータでいち早くシステムを復旧できることだ。データが戻らないリカバリは意味がない。これらの要件を満たすべく、現在ではさまざまな形のバックアップが提供されている。

保険としてのバックアップがビジネスを救う

 かみ砕いて言えば、バックアップとはデータ消失に備え、データを別のメディアに複製しておくことだ。典型的なパターンとしては、作業自体を管理するバックアップソフトを対象のサーバーに導入し、データを定期的に磁気テープやHDDなどの外部ストレージに保存する。1週間に1度の頻度でフルバックアップをとり、残りは前日からの更新分を取得するというローテーションで進められることが多い。こうして取得されたバックアップデータは、障害時などにリカバリされ、システムの復旧に役立てられるわけだ。

バックアップの基本概念と構成要素

 もちろん、データ保護の目的ではバックアップだけが唯一のソリューションではない。たとえば、複数のHDDに対してデータを冗長RAIDはデータ保護にはなる。あくまでHDDの1台の障害のみが対象で、バックアップとは言いづらい。さらに、別の拠点に逐一データをコピーするレプリケーションというソリューションもある。しかし、この場合は最新のデータは戻せるが、元のある時点にデータを復元するのは難しい。その点、コンピューター全体を守ることができ、履歴管理のできるバックアップはコンピューターの故障のみならず、ソフトウェアやRAID障害、自然災害、サイバー攻撃、マルウェア、誤操作など多くの消失原因に対応できる。

 意外と簡単に見えるが、データをどのように複製すればよいか、複製したデータをどこに保存するか、復旧や作業にどれくらいの時間がかけられるのかなどを考えると、実は適切な要件を設定するのが難しい。最近はバックアップ対象となるデータ自体が飛躍的に増大していたり、サーバー自体が仮想化されつつあるというトレンドもある。また、災害対策としてバックアップを重視している企業も増えているし、大企業ではデータ保護だけではなく、証拠保全に重点を置いているユーザーもいる。

 こうしたさまざまな要件や条件があるため、バックアップは企業ごとにかなり形態が異なる。ソリューションを選択するのに、時間と労力をかけているユーザーも多いだろう。しかし、もっとも重要なのは正しいバックアップを今すぐ始めることだ。

 本特集では、さまざまなバックアップソリューションを紹介しつつ、災害対策に関してもどのように取り組んでいくかを見ていきたい。

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