今回のことば
「パナソニックの本当の姿はこれである、ということを正しく伝えたい」
(パナソニック・津賀一宏社長)
社長として初めて臨んだCESの基調講演
米国で1月に開催された、2013 International CESのオープニングキーノートに、パナソニックの津賀一宏社長が登場した。これまでにも、パナソニックの幹部がCESの基調講演に登壇したことはあったが、いずれも当時の肩書は、専務取締役。そして、いずれもデジタル家電を担当するAVCネットワークス社のカンパニー社長として、デジタル家電戦略を説明することが、講演の中心となった。
だが、今回の基調講演は、パナソニックの社長としては初めての講演となり、デジタル家電戦略はむしろ封印して、パナソニック全体としての方針を説明してみせたのが特徴だった。
講演後、パナソニックの津賀社長は、「パナソニックは、テレビのメーカーだけではないということを訴え、何がパナソニックであるのかということを明確に示したかった」と、この講演の狙いを語る。
真面目な津賀社長の人柄が反映された講演
基調講演の進行は、津賀社長の性格そのもので、「真面目」な説明に徹するものになったことも興味深い。
前日夜に開催された米クアルコムのポール・ジェイコブスCEOの基調講演では、米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOや、セサミストリートでお馴染みのビッグバードをゲストとして登場させ、会場を沸かせた。
翌日に行われた韓国サムスン電子のデバイスソリューションビジネス部門 ステファン・ウー社長の基調講演では、ビル・クリントン元大統領が突如登場し、聴衆を驚かせた。
これらとは対照的に、津賀社長の講演で大きな拍手が沸いたのは、パナソニック ノースアメリカが本社を移転する予定のニューアーク市のコリー・ブッカー市長が登場したときだけ。他社の基調講演と比較すると、地味な印象は拭えないが、それが津賀社長のやり方だったともいえる。
実際、社内ではもう少しエンターテイメント要素を入れるべきとの声もあったが、津賀社長自らが、このスタイルにこだわったようである。
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