部品を絞り込んで決め打ちすれば、起動時間を高速化できる
── Windows 8になって変わったことはありますか?
レノボ 「Yogaは、電源を入れてから起動するまでの速度が約11秒と非常に速いんですね。BIOSもそのためにムダなことを省いて、できるだけ立ち上げのスピードを上げるよう配慮しているんですね。ここもThinkPadとの違いです。
ThinkPadは大企業のお客さまが多いので、BIOSには指紋認証とかのデバイスだったりとか、セキュリティーのチェックが必須となる。あとはYogaの場合、個人向けなので割り切って開発ができるという面があります。ストレージはSSDのみ。ThinkPadではHDDモデルも用意しないといけないので、起動時にはBIOSでどんなドライブがあるかを確認しないといけない。このあたりのキャリブレーションに手を抜けないという面があります。
また個人向けのノートでは、使っている部品が限定されているという面も大きいんですね。ThinkPadはSSDにしてもHDDにしても、1社でまかなうことはまずありません。例えばHDDに関しては4社から調達している。でも、Ideaシリーズの場合、出荷する総数を絞れば、HDDは1社のこの型番と決め打ちすることができる。そうすればチェックの手間を大きく省けるんですね」
── ちなみに背面の排出口の内側にツメみたいな突起がありますが。
レノボ 「ああ、これはEMI(Electro Magnetic Interference)というか、電波の干渉に考慮した部分ですね。どうやって余計な電波を除くかという意味で付けていますね。ノイズを分散させる形状を工夫したりとか、テープを貼ったりとか。スリッドにすることで、外側から見た際に、デザイン的にいいという面もあります。
── メッシュの形状も独特ですよね。
ここはIdeaPadのIDというか。大和のIDとIdeaPadのIDは全然考え方が違うんですよね。
日本のモノづくりの精神が、Yogaには注入されている
── なるほどここまで濃く話を聞く機会は中々ないので、勉強になりますね……。取材前は、Yogaはヒンジが特徴なので、そこだけ聞けば十分っていう気持ちだったんですが、ノート開発の本質に近いところまで聞けた気がします。技術者にしてみれば当たり前なのかもしれないですが。
レノボ 「ThinkPadでは当たり前のことが当たり前じゃないという面もありますからね」
── 20年間かけて改善に改善を重ねてきたのがThinkPadですからね。
レノボ 「そして、その精神とクオリティーを注入して、1年以上の改善を重ねながら作ったのがYogaなんです」
── 2012年初頭にCESでプロトタイプを出した(関連記事)あとも、完成度を高めるための作業が続いたはずでしょうし。
レノボ 「そこはコメントしにくいところですが、特にヒンジはずっと改善を重ねた部分ですね。一番苦労したのは旧正月のころかなぁ」
── 本当にあっという間の時間でした。最後に読者に一言いただけますか?
レノボ 「がんばってやりましたんで、ぜひ1台でも多くの製品がお客様の手に届くといいなぁと思っています」
── 本日は本当にありがとうございました。