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編集者の眼第44回

演説下手の候補に読ませたい「モンロー式説得術」

2012年12月12日 13時00分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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 駅前に停車した選挙カーから出てきた若者は、弱々しい声で「○○駅前の皆さまお騒がせします。○○党の○○○○でございます」と演説を始めた。どんな内容なのかと思ったが、小声で名前しか言わないので立ち止まらずに改札に向かった。私が電車に乗るまでの数分間の出来事だから、もしかすると彼は演説の名手なのかもしれない。だが恐らくは、党本部から演説原稿を受け取っただけで、街頭演説の「極意」のような指導は受けていない新人候補だろう。

 私が新人記者・編集者だったころは「文章が下手だから転職しろ」とか「この業界に向いていないから辞めろ」とか、さんざん先輩社員から嫌みを言われた。今から思えば、先輩たちの意見は正しくて、初期の記事を読み返すと確かにひどい。今でも上手な文章を書いている自覚はないが、昔は本当にひどかった。ただ、本や雑誌はたくさん読んでいたので、原稿を書くとき、ゼロから考えるのではなくて、自分が上手だと思う記事の構成を真似て書くようにした。そのうち「参考文献」がなくても「週刊○○の○○記者風の文章」みたいに書けるようになった。「型」が身に付いたのだ。

 街頭演説が苦手な新人候補に、今からでもオススメしたいのが「モンロー式説得術」だ。Wikipedia英語版には「Monroe's motivated sequence」の項目があって、夜中の通販番組のあらすじのような、人に何かを促すスピーチの基本型として説明されている。主要政党のマニフェストを読むと、確かにモンロー式説得術のままで書かれている党首挨拶が多くある。あの感動的なオバマの就任演説もモンロー式だ。上手な文章、感動的なストーリーには型があって、知っているだけで出来がまったく変わってしまう。

モンロー式説得術

 街頭で演説する機会がない人にも読んで欲しいのが、12月12日発売のWeb Professionalの最新刊Webライティング実践講座 ニュースリリースから商品説明までだ。「文章は型どおりに書けばいい」をテーマに、宇宙戦艦ヤマトの歌詞や西原理恵子さんのエッセイ、三井物産のニュースリリース、日経新聞、モノマガジン、ニューズウィークの記事、死刑判決など、Web Professional編集部とWeb制作会社のロフトワークのメンバーが著者になり、さまざまな文章の「型」を紹介した。「一文は短く」「結論を先に書け」など、よくある文章術本とはまったく異なり、1文字も書けない、結論が思い浮かばない人でも、型に流し込むことで一定品質の文章を量産する方法を解説した。Webコンテンツのために、検索エンジンやソーシャルメディアといった流入経路別に見出しを書き分けるテクニックも詳しく説明している。

Image from Amazon.co.jp
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