今回のことば
「kobo Touchの1人あたりの読書量は、他の国の2倍になっている。koboは日本の電子書籍の扉を開いた」
(楽天・三木谷浩史代表取締役会長兼社長)
拡張性を備え、日本人向けになった新しい「kobo」
楽天は、電子ブックリーダー「kobo」シリーズの新製品として、6型ディスプレーを採用した「kobo glo」、5型ディスプレーを採用した「kobo mini」を、2012年11月15日から出荷する発表した。
発表会見で、楽天・三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、「読書の楽しみをすべての人に広げるために、楽天はkoboを提供している。koboはこれからも進化を続ける」と語り、今回の新製品が、その進化を示す製品であることを示した。
kobo gloは、フロントライト機能を搭載したことで、寝室などの暗い場所でも電子書籍を楽しむことができる進化を遂げるとともに、標準搭載の2GBのメモリーに加え、最大32GBのmicroSDカードの利用を可能としたことで、コミックでは約600~1000冊、書籍では約3万冊を持ち運ぶことができるようになったという。
三木谷社長は、「暗いところでは読めないので電子ブックリーダーの購入をやめていたという人にも適したものとなり、容量の観点からも制限がなくなる」と説明した。
とくに三木谷社長が強調したのが、容量の拡大によってマンガに対する需要に対応しやすくなったという点だ。
三木谷社長は、「今年7月に発売したkobo Touchで感じたのは、日本ではマンガに対する需要が高いという点。マンガを読んでいただくために必要な容量を用意し、マンガを読むための機能も必要になる。microSDカードによるメモリー容量の拡張はマンガに適したものであり、プロセッサーの性能も25%向上させ、ページをめくるスピードが速くなった。日本で需要が高いマンガを快適に読むことができる端末になっている」とする。
三木谷社長自身も、kobo gloのベータ版を飛行機に持ち込んで、寝転がりながら10冊ほどのマンガを読んだというが、「電池寿命も十分で、持っている手も疲れない。快適に読書をすることができた」と満足ぶりを示す。
また、日本人向けという点では、モリサワ製日本語フォントと日本語用に最適化した文字レイアウト技術との組み合わせにより、紙の書籍を読むのと同じ感覚で読書ができるようにしたことを強調してみせた。
「日本語のコンテンツについては6万5000点を用意。うまくいけば年内には20万コンテンツに到達する」などとも語る。
楽天は、開発元のカナダのコボ社を買収し、子会社化しており、「日本の企業だからこそ、実現できる日本人に向けた電子ブックリーダー」だと強調する。
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