膨大な写真を整理する技も紹介
【ツンデレBD】写真を整理してスライドショーを作るわよ!
2012年11月10日 11時00分更新
それって…、どういう意味かしら……?
「おや、もうこんな時間ですか」
きーんこーんと予鈴がスピーカーから流れてきて、私は慌てて立ち上がった。
空になった弁当箱──作業をしながらも私はちゃんと食べていた──を片付け、パソコンの電源を切る。生徒会長に頼まれた作業も無事に終わったし、よきかなよきかな。
……ところで明日からどこの部屋に逃げ込もうかしら。
「あ、葵さん。これを」
生徒会準備室から飛び出そうとする私を、赤司が後ろから呼び止めてきた。
奴が小さく綺麗な紙袋を差し出してきたので、私は思わずどきりとする。こいつに何かプレゼントをもらうなんてことあるはずがないんだけど!
「……私がこの間渡したお弁当箱じゃない」
おそるおそる紙袋を覗き込み、私はがっくりと肩を落とした。一瞬でも期待した私がバカみたいだわ。
「ええ。お返しするのが遅くなって申し訳ありません」
「……あんた、もしかしてこれを返しに来たの?」
赤司は小さく頷いた。
考えてみれば、私はともかく赤司がこの生徒会準備室に用があるわけがない。奴は私の後を追いかけてきたのだ。
「って、あんたに弁当あげたの十日も前じゃない! さっさと返しなさいよ」
「僕もそのつもりだったんですが、ここしばらく、僕から葵さんに話しかけるとますます面倒なことになりそうだったので」
「……それはお気遣いどうも」
いちおう、人目につかないところで返そうとしてくれたわけね。普段は女の子にどれだけきゃーきゃー言われようと気もしていない感じなんだけど。
「それにここ数日は葵さんの機嫌が良くなさそうだったので、僕としては話しかけづらくて。授業中に指されたときもミスが多かったですし、備品のモップを壊してましたし、ゴミ箱にシュートし損ねて地団駄踏んでましたし」
「……あんた、見てたの!?」
「ええまあ。いつ返すべきかタイミングを見計らっていたもので」
「そんな全力で監視してるんだったらさっさと返しなさいよ!」
バカだわこいつ。なんで私、こんなバカに試験で一度も勝てたことないのかしら……
私は思わず頭を抱えたものの、
「それに、見ているのは楽しかったので」
続く言葉に私は目をぱちくりとさせた。
楽しかった……っていうのは、こいつが、私を見ているのが?
「それって……」
けれど聞き返そうとしたそのときには、赤司の姿は既に消えていた。
私もはっと我に返る。さっき予鈴が鳴ったから、もう授業が始まっちゃう。私だってこれでも優等生で通ってるんだから、遅刻なんてできないのよ!
「……どういう意味かしら」
廊下を全力疾走しながら、私は顔が熱くなるのを感じていた。
つづく
著者紹介――藤春都
ライトノベル書き。筑波大学図書館情報専門学群卒。特技は本を腹の上に載せたまま寝ること。企画書を没られたりプロットを没られたり細かな記事を書いたり色々してます。単行本は『ミスティック・ミュージアム』(第二回ノベルジャパン大賞<佳作>受賞作)、『空想/のべりずむ』、『瑠璃色の刃と朱色の絆』(すべてホビージャパンより刊行)。12月1日に新作『天帝学院の侵奪魔術師《ドメインテイカー》』(HJ文庫)が発売されます!
イラスト――花園あずき
ドレスと猫をこよなく愛する漫画家。ペンネームが微妙に変わりました。単行本に『小公女(マンガジュニア名作シリーズ)』(学研教育出版)。11月末に単行本『はやげん! はやよみ源氏物語』(新書館)が発売されます!
ブログ『本当は萌える!源氏物語』では、源氏物語の漫画を連載中。twitterは@genjihikaru。
~前回のあらすじ~
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