ソニーの「VAIO Duo 11」(以下Duo 11)は、同社がWindows 8と同時に発売する製品として、特に力を入れたモバイルノートである。タッチ、ペン操作、モバイル性能の3ポイントで攻めたとても意欲的な製品だが、ソニーストアでの直販カスタマイズの場合、もっとも安い構成だと99800円という、価格の低さにも注目だ。
ソニーはどのような発想をこの製品に込めたのか? そして、いかにして効率的な製造を実現したのだろうか? Duo 11の開発と製造を担当する、長野県安曇野市にあるソニーイーエムシーエス・長野テクノロジーサイトにお邪魔して、企画/開発/製造のキーパースンに話を聞いた。
「タッチ+ペン」で新しいPCを
スライダー採用の理由は「スピード」
まず最初に気になるのは、Duo 11の企画意図だ。商品企画担当の金森伽野氏は次のように語る。
金森「Windows 8ではタッチ操作が重視されますから、もちろんタッチを快適にできないといけません。しかし、同時に大事にしたかったのが『キーボード』です。しっかりPCとして使えることが重要だからです。キーボードが使える状態でも、液晶ディスプレーが固定されていることも重要でした」
金森「また、閉じた時に『液晶がでているPC』としても、新しい価値が提供できるのではないかと考えました。例えばスケジュールチェックなどの時、さっと立ち上がりますし、ソファなどで情報を見る時にも便利です」
金森「我々も常にいろいろな形状は検討していたので、Windows 8以前からスライダー形式が選択肢のひとつにあったのは、間違いありません。そのうえでスライダー形式を採用したのは、スムーズに形態を移行できるからです。キーボードを打ちつつタッチができる。それをサッと切り替えられるのが利点です」
Duo 11のプログラムマネージャーを担当した鈴木一也氏は、これまで「VAIO U」や「VAIO type P」などの開発を担当した、「特徴的なVAIO」を歴任してきた人物である。
鈴木(一)「このような切り替えを『一瞬』でできることに、価値があるだろうと考えました。いくつものアクションが必要になるのは、ちょっとないな……ということで、(開発の)早い時期に『このやり方でいく』と決まりました」

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