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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第93回

富士通のかっこいいUltrabook LIFEBOOK UH75/H誕生の秘密

2012年06月14日 14時16分更新

文● 西田 宗千佳

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「ヒーロー」を作ることが持つ
メーカーにとっての意味とは

小中「そんなこんなで……基板ができたのは2011年の末くらいですかね。これも、富士通内製のプリント基板CADで開発しています。そこからモノができてきたのが1月末。海外でも同時に出すので、各国の各種規格を通すためには、あまり余裕もない。社内の検査機関などのリソースもうまく使って、なんとか間に合わせました。担当者は連休も返上だったのですが(笑)。

 それだけの苦労をして「ヒーローPC」として、UH75/Hを作った理由はなんなのだろう? もちろん「売りたい」という意識は当然だ。だがそこにあるのは、それだけではない「富士通としてのこだわり」があった。

小中「ノートパソコンは、お客様の目に直接触れる商品です。正直に言えば、富士通としてはサーバーなどのテクノロジーソリューションの方がビジネスとしては大きい。しかし、お客様の目に触れやすいのはスマホとパソコンなんです。触れることのできる製品から、富士通のイメージができあがると思っています。この製品の出来から、「日本で作っているからこそ」というメッセージが伝わっていく、と思うのです」

軽石「開発する側としても、正直苦しいけれど達成感があります。『いいものができた』という達成感があれば、『よし、次にもいいものを』という気持ちになります。そういういい製品を作っていくことが、我々の宿命だと感じるのです」

 パソコンは利益率の低い製品だ。「コモデティー化してうま味のないビジネス」とも言われる。しかし、日常的に長く使うものだからこそ、ラフにつくられた商品では満足感も得られない。そこは、メーカーとしてのブランドにつながる。「ヒーローPCプロジェクト」の「ヒーロー」とは、市場でヒーローとなれることだけでなく、作る側にとっても「ヒーローを作る」という矜持を持てるもの、ということなのだろう。

 UH75/Hは、それにふさわしい作りの製品となっている。数字の上でのスペックでなく、存在感を感じるのだ。特にモバイルには興味がなかった人には、「日常的に持ち歩くきっかけ」になる製品だと思う。それだけの完成度を十分に備えているのだ。

インタビューにご対応いただいた、UH75/H開発スタッフの皆様

LIFEBOOK UH75/H(カタログモデル)の主な仕様
CPU Core i5-3317U(1.70GHz、最大2.60GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 14型ワイド 1366×768ドット
ストレージ HDD 約500GB+高速処理用SSD
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n、WiMAX
インターフェース USB 3.0×2、USB 2.0×1、ダイレクト・メモリースロット(SD/SDHC/SDXC)、HDMI出力、10/100/1000BASE-T 有線LAN(外付けコネクタ式)など
サイズ 幅327×奥行き225×高さ9.0~15.6mm
質量 約1.44kg
バッテリー駆動時間 約9.1時間
OS Windows 7 Home Premium 64bit版
WEB MART直販価格 12万9800円

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)。最新刊は「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。

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