連載141回と142回で、断片的にアップデート情報をお届けしたAMDのデスクトップ向け製品ロードマップだが、ようやく細部も確定してきたので、今回でまとめて解説したい。ロードマップ図としては、128回以来となる。
といっても、当然ながら現状ではまだ2013年の動向は明確ではなく、あくまで2012年どまりとなるのはご容赦いただきたい。
最上位FX-8170はキャンセル
ハイエンドではインテルと戦えず
復習もかねて、まずは現行製品から。デスクトップ向けのグラフィック非統合製品には、「AMD FX」シリーズが投入されているわけだが、ハイエンドの「FX-8150」を高クロック動作させる「FX-8170」は、結局登場しないことになった。
AMD FXシリーズの売り上げは決して芳しいとは言えないレベルで、性能面でもSandy Bridgeには及ばないレベルである。これがIvy Bridge相手となると、性能面でのギャップはそれほど広がらないが、消費電力面ではさらにギャップを広げられてしまう。だからといってSandy Bridge-EベースのCore i7 Extreme Edition相手では、性能面でのギャップが大きすぎて、とてもではないが多少動作周波数を上げたくらいでは追いつかない。AMD自身、このところハイエンドというかエンスージャスト向けではインテルと勝負しないと明言しており、なのでFX-8170は素直に見送ったと考えてよいだろう。
その代わりといっては何だが、2012年3月には、定格3.8GHz/最大4.1GHz駆動の「FX-6200」と、定格4.2GHz/最大4.3GHzの「FX-4170」を投入。これで多少ラインナップを充実させた。FX-4170は「FX-4100」の定格3.6GHz/最大3.8GHzから、大きく動作周波数を引き上げている。もちろんTDPも95Wから125Wへと増えてはいるが、GLOBALFOUNDRIESの32nm SOIのSpeed Yield(どの程度の周波数で動作するかの平均値)が改善してきていることをうかがわせる。
HuskeyベースのAMD A8/A6は
後継品が登場せず
一方APU(AMD Aシリーズ)であるが、2011年末には倍率アンロック版である「A8-3870K」と「A6-3670K」を投入した(関連記事)。倍率アンロックといっても、変更できるのはCPU側の倍率のみだが、Core i7-2700K/Core i5-2550Kへの対抗であろうということは容易に見当がつく。
CPU性能では追いつけないがGPU性能では圧倒しているため、ワークロード次第では互角の勝負になる。あとは価格やプラットフォームでメリットを出そうというのが基本方針となるが、それでも多少はCPU性能の上乗せが必要と、頑張って100MHz引き上げました、といったところだ。ただ逆に、これ以外に予定されていたアップデートに関してはほぼすべてが見送りになったようで、ラインナップそのものはほとんど増えないままとなった。
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