Googleで「近江牛」と検索すると最上位に表示されるECサイトがある。インターネット黎明期ともいえる1997年に、本格的にECに参入した『近江牛.com』である。10年以上にわたって実績をあげ、業界内での評価も高かった同サイトが、2011年10月、全面リニューアルした。そのリューアルの目的や成果について、『近江牛.com』店主の新保吉伸(にいほ よしのぶ)氏と、リニューアルに携わったゴンウェブコンサルティング社長 権成俊(ごん なるとし)氏、同社ウェブコンサルタントの村上佐央里(むらかみ さおり)氏が、全国で約600社のECサイトが加入するOSMC(オンライン ショップ マスターズ クラブ)が主催するセミナーで語った。(3月23日に東京で開催されたセミナーの内容を、再構成してお届けします)
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Googleで「近江牛」と検索すると最上位に表示されるECサイトがある。インターネット黎明期ともいえる1997年に、本格的にECに参入した『近江牛.com』である。10年以上にわたって実績をあげ、業界内での評価も高かった同サイトが、2011年10月、全面リニューアルした。そのリューアルの目的や成果について、『近江牛.com』店主の新保吉伸(にいほ よしのぶ)氏と、リニューアルに携わったゴンウェブコンサルティング社長 権成俊(ごん なるとし)氏、同社ウェブコンサルタントの村上佐央里(むらかみ さおり)氏が、全国で約600社のECサイトが加入するOSMC(オンライン ショップ マスターズ クラブ)が主催するセミナーで語った。(3月23日に東京で開催されたセミナーの内容を、再構成してお届けします)
この記事が参考になる業種
- 食料品一般
- 雑貨/グッズ
- ファッション/アパレル
近江牛のECサイト『近江牛.com』が、サイトを全面リニューアルしたのは、2011年10月。旧サイトのトップページと、新しいトップページを見比べると、パっと見ただけでも、ガラリと印象が変わっているのが分かる。
リニューアル直後は、「以前より寂しい印象になった」、「購入意欲が減った」という他のECサイトオーナーからの厳しい意見もあったが、結果として、平均売り上げは前年比132%と大幅に伸びた。
リニューアルに駆り立てたもの
なぜ、新保さんは好調な売り上げを続けている『近江牛.com』のリニューアルを考えたのだろうか。
旧サイトは、2007年にリニューアルした。リニューアル時のサイトは斬新だった。食品を扱うショップではあまり見かけない「黒」を基調として、近江牛の「赤い色」や「高級感」を引き立たせていた。より牛肉のおいしさが伝わるように、商品画像や動画なども上手に活用するなど、新保さんの思いもたっぷり詰め込んでいた。
2007年にサイトをリニューアルした後、新保さんは「エシカル・ソーシング」という考え方に出会う。エシカル・ソーシングとは、倫理的、道徳的(エシカル)に、調達や仕入れをする(ソーシング)という考え方。これが、新保さん自身の事業の方向性を確固たるものにしたのだ。
「以前から、生産者と直結した流通システムを確立し、高品質で安全な近江牛を適正価格でお客様にお届けすることをモットーにしていましたが、その考えが間違っていなかったと腹に落ちた感じでした。買い叩かない商品を提供すれば、生産者は次の牛を育てたいという気持ちになりますし、結果、売り手良し、買い手良し、世間良しの三方良しが実現します。この揺るぎない考えを改めてサイトに反映していきたいと思いました」
新保さんは、こうした「思い」を旧サイトに色濃く反映させてきた。結果として、旧サイトの情報量は格段に増えてしまった。多くの情報をトップページからたどれるようにしたため、トップページには販売とエシカル・ソーシングの情報が入り乱れ、サイト訪問者が目的の情報にアクセスしにくくなってしまった。また、コンテンツの追加を重ねてきたため、あるページをたどっていると、元のページに戻れないという使い勝手の悪さも目立つようになってきた。
このようなサイトの現状を認識した新保さんは、全面リニューアルに踏み切ったのだった。