似たようで違う?
スワイプ操作とスライド操作
このほかに重要そうな動作として、指をタッチパネルに触れたまま指を動かす「スワイプ」(Swipe)と「スライド」(Slide)がある。メトロでは、タイルなどの画面上のオブジェクトに指をのせたまま、下に少しずらして指を止めると、選択可能なオブジェクトであれば、それに太枠が表示されて選択状態となる。これが「スワイプ」である。ただしアプリケーションによっては、そのまま指を動かし続けると、「ドラッグ」となる。
現在のWindows 8関連のドキュメントでは、ドラッグという動作は定義されていない。だがWindowsではずっと、オブジェクトを画面内で動かすための動作として使われてきた。Windows 8のスタート画面でも、指を動かし続けるとスワイプからドラッグへ移行して、タイルの位置を変更できるようになる。
スタート画面などのように、画面よりも大きな範囲を持つアプリでスクロールを行なわせるには、やはり画面に指を載せたまま動かす。メトロではアプリケーションが全画面を使うため、指を置く場所は画面内であればどこでもいい。これが「スライド」だ。またスライドの場合、指を弾くように動かすと画面のスクロールは慣性があるかのように、しばらく動き続ける。他のシステムではこれを「フリック」と呼ぶことがある。Windows 7でもジェスチャーのひとつとして定義されていた。しかしWindows 8では、フリックという操作は可能なものの、スライドとは特に区別していないようだ。
ちなみに、メトロという名称は、画面が横方向に動いて、地下鉄の窓から見た景色のように流れていくことから名付けられたのだという。
マイクロソフトの最近のドキュメント「Quick start:Touch input」では、スワイプを「Cross-slide」と表記し、スクロール方向と直角の方向にオブジェクトをドラッグすることと定義していることもある。スタート画面でも、タイルを選択する場合には、下方向への動きのみを受け付け、左右はスクロール(つまりスライド)として認識する。一方で上方向は、ただちにタイルのドラッグ動作となる。
画面の上下左右端のディスプレー表示範囲外から、画面内に向かって指を動かすスワイプ操作は、特別な操作となる。これは、チャームやアプリケーションのメニューの表示に使われる。なおマウスの右ボタンをクリックすると、画面下端から上に向かうスワイプと同じ動作となり、アプリケーション固有のメニュー(App Commnadsと呼ばれる)が表示される。これを「Edge」と表現しているドキュメントもある。
また画面右端から内側へのスワイプは、チャームバーの表示、左側からのスワイプは、アプリケーションの切り替えである。左からのスワイプの場合、タッチではそのまま動かすと、「次」のアプリケーションに切り替わる(Alt+Tabキーと似たような操作)。しかしスワイプした指を左端へ戻すと、動作中のタスクのサムネイルが左端に一覧表示される。一覧からサムネイルをタッチすると、該当のタスクへ切り替わる。また左端からドラッグしたまま、画面の中程(やや左)まで指を動かすと、メトロアプリによる画面の分割表示(Side by side)になる。ただしこの動作は、画面解像度が横方向に1366ドット以上ないと行なえない。
このほかに、拡大縮小動作にあたる「ピンチ」(Pinch)と回転動作を意味する「ローテイト」(Rotate)がある。前者は2本の指でタッチしてから、指同士の間隔を広げたり狭めたりすることで、拡大/縮小を行なう。ただし、この動作は「論理的な拡大/縮小」であり、単純に画像や地図、図形などを拡大/縮小する動作だけでなく、意味的な操作、例えばカテゴリ表示と一覧表示の切り替えなどにも利用できる。スタート画面の場合、ピンチでタイルを縮小表示すれば、多くのタイルを同時に表示するだけでなく、縮小状態ではグループ全体の選択や移動が可能になる。
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