シマンテックは29日、日本、中国、シンガポール、インド、オーストラリアといった5ヵ国を対象にしたセキュリティ意識調査の結果を発表した。各市場とも18歳~64歳までの大人500人ずつで、日々のネットへの接続は1ヵ月に1時間以上ある人を対象としている。
日本人は「個人情報>1億円」である! 対して中国は……
今回の調査で想像よりも長いと感じたのが日本のネット接続時間。1日当たり約7時間もネット接続しているという。とは言え、この数値は他国に比べて比較的少ない。今回発表を行なったシマンテックのノートン事業部アジアパシフィック/日本地域担当バイスプレジデントのデビッド・フリーア氏によれば「シンガポールは8.5時間、インドは9時間。5ヵ国と比べると日本が一番少ないが、これは高齢者になるにつれ閲覧時間が少なくなる傾向があり、日本の調査では高年齢の人が多いからではないか」としている。
では、この7時間に日本人は何をしているのか。調査の結果、週当たりにかける時間が多いのが「Webの閲覧」で13.2時間、「ソーシャルネットワーク上の交流」が6.8時間、「メール」が5.1時間といった形になっている。日本の特徴としてはソーシャルネットワークやゲームにかける比率が少ないという点にあるとのことで、若い人が多い中国やインドはこれらの比率が日本の倍となっているとのことだ。
調査結果で思わずウンウンと頷いてしまったのが「ネットが切断されてしまったら?」という項目だ。日本人の5人に1人が3時間以内に禁断症状を覚え、過半数が24時間以上ネットがないと耐えられないと回答しているという。この結果は他国でも同じくらいの比率となっており、ネットのない生活にストレスを感じるのは世界的に同じだと言える。
今回の調査を行なったのはセキュリティソフト会社の雄であるシマンテックだけあって、もちろんセキュリティ関連の設問もある。会場から笑いが起きたのが「見知らぬ人に『1億円あげるから24時間だけ自由にあなたの個人情報にアクセスさせてほしい』と言われたらどうするか?」というもの。日本人の79%は個人情報を盗まれるよりも1億円をあきらめるという結果になったとのことで、この傾向はどの国も同じような結果になったそうだ。しかし、中国だけ異なり、54%が「1億円のほうがいい」と答えたという。
メーカーが多いことが混乱の原因に
シマンテックによれば、日本のセキュリティ意識は総じて高く、フィッシング、ID盗難、アカウントハッキングなど、どこに危険があるのかというは理解しているという。一方他国より低いのが個人情報のバックアップという項目だ。個人情報の項目に含まれるものは写真や文書、音楽やアドレス帳などであるが、日本人の4分の1(27%)はどんな個人情報もバックアップしないと答えている。
また適切な製品の選択という点も弱い点だという。約73%が日本人はどの製品を買えばいいのかわからないという結果が出ており、26%がアップデートが頻繁にないような基本的なセキュリティソフトで十分だと考えているという。この原因は、日本の市場にいろいろなメーカーが入り込んでいるため、それぞれのソフトがどのような機能を持っているのかという理解が得られていないのではないかと推測している。今後、各ソフトメーカーは適切なソフトを選ぶような啓蒙活動が必要だとしている。
今回の発表の最後には、同社が今後発表する製品として、モバイルやMac、PCなどの複数プラットホームを1つのライセンスで管理する「ノートン360エブリウェア」の概要も語られた。現在発売しているノートン360の上位となるもので25GBのオンラインストレージなども提供されるという。発売日や価格などは未定とはしているが、近く発表できるはずとして、発表会は幕を閉じた。
