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地域で意識差? シマンテックが語るセキュリティソフト最新動向

2011年12月16日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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 スマートフォンユーザーが増えている中でパソコンと同様にスマートフォンを狙ったウイルスも急増しており、ユーザーは対策を迫られている段階に来ている。個人情報が詰まっているからこそ、万が一の場合の対策は練っておきたい。そこでまず考え得るのがセキュリティソフトという選択肢だ。2011年3月に「ノートン モバイル セキュリティ」をリリースしたシマンテックでは、この大きな変化にどう対応するのだろうか。アジア・パシフィック・日本地域を担当し、ノートン製品の販売展開を統括するデービッド・フリアー氏から今後の動向について話を聞くことができた。

日本と中国、セキュリティ意識の違い

今回マーケットについてお話を伺った、シマンテック コンシューマー事業部門 アジア パシフィック/日本地域担当、バイスプレジデント、デービッド・フリアー(David Freer)氏

――フリアーさんはアジア・パシフィック地域のご担当ということですが、アジア市場についてどのような印象をお持ちですか。特に日本は国民の感覚として消費が落ち込んでいると感じているところもありますが。

デービッド・フリアー(以下フリアー):私の印象では、日本の市場は決して消費が落ち込んでいるようには感じていません。むしろ安定した成長を続けていると思っています
 そもそも、日本は世界各国の中でも2番目に大きな市場です。日本には新しいトレンドはもちろん、私どもが提供する製品についても、もっとも早く受け入れてくださっているユーザーが多いですね。個人情報は非常に貴重で価値ある物であるから、しっかりと守っていきたいという日本人の皆様の気持ちの現れなのだと思います。

――日本よりはるかに人口の多い中国でも同じような状況でしょうか。

フリアー:中国の市場は、日本とは全く異なっていますね。パソコンはもちろん、携帯電話など各種デバイスの市場は成長していますが、セキュリティソフトで自分の個人情報を守るといった意識がまだ広まっていないようです。

――なるほど。日本や中国に限ったことではないですが、セキュリティへの意識がまだ低く、知識が不足しているユーザーというのは必ずいます。そうしたユーザーに対してはどのようにアプローチすることを考えていますか?

フリアー:まずはノートン製品の認知度を上げることが重要だと思っています。
 すべての国の市場に言えることなのですが、日本の場合、私どもとパートナーシップを組んでいる小売店での販売、インターネット通信業者、PC・携帯メーカー、そしてオンライン販売、といった4つのチャネルで販売しています。ノートン製品の認知度を上げるためにはこうした通信業者などのパートナーの方に売っていただくことはもちろんのこと、広告を出すなどして、ユーザーへの認知度を上げなければならないと考えています。
 そして製品のラインナップも、ご存じの通りビギナー向けの「ノートン アンチウイルス」から「ノートン インターネットセキュリティ」、そして上級者向けの「ノートン360」というように、それぞれ異なる製品と価格帯で展開しています。
 以前、ノートン製品は反応が遅い、重いと言われていることもありましたが、2008年以降はセキュリティソフト市場においてもっともスピードの速い製品であることがわかっていますので、ナンバーワンの速さで最も効果的にユーザーのPC・携帯やスマートフォンを守っていると自負しています。

PC向けのセキュリティ製品はタイプ別に3つのラインナップから成る。左から「ノートン アンチウイルス 2012」(1年版4980円)、「ノートン インターネットセキュリティ2012」(1年版6480円)、そして上級者向けの「ノートン360 バージョン5.0」(1年版8480円)

スマホ向けセキュリティソフトは、アップデートの間隔が短くなる傾向に

Android向けのセキュリティソフト「ノートン モバイル セキュリティ」(1年版2980円、2年版5480円

「ノートン モバイル セキュリティ」では、万一スマートフォンを紛失してもリモート操作で場所を検索したり、ロックをかけることができる

――スマートフォンと言えば、御社のセキュリティソフトのひとつに「ノートン モバイルセキュリティ」がありますが、Android端末向けでありながら、当初パッケージで販売されましたね。スマートフォン対応のセキュリティソフトが出るとしたらダウンロード販売が主体になるのかと思っていましたので、ずいぶん驚きました。

フリアー:アンドリュー・ダンバー(シマンテック執行役員・コンシューマセールス担当)が勇敢な決断をしたんです(笑)。確かにちょっとしたトライではありました。ですが日本のチームのおかげで、販売店や通信業者様といったパートナーからも私どもの製品を評価していただけました。

――店頭販売のメリットというのはあるのでしょうか。

フリアー:私は小売業界での経験がありますので、まずユーザーがどんなタイミングでスマートフォンを購入するのかといったところから考えました。もちろん店頭で購入するわけですが、例えばスマートフォンを買った時、同時にケースや周辺機器を購入することもあるわけです。そこで店頭であれば販売員の方がユーザーに「これをお買いになると、こうしたセキュリティ対策も必要になってくる」というよう説明してくださるので、そこが製品を販売する際のメリットだと思っています。

――確かに、初心者にとっては販売員の方からの説明が大切ですよね。ところで2011年3月に「ノートン モバイル セキュリティ」を発売された後、11月にはもうアップデート版がリリースされましたね。アップデートまでの期間がずいぶん短いなと驚いたのですが。

フリアー:モバイルの世界は今、とてもエキサイティングです。技術がどんどん進み、劇的な変化が起きていますよね。パソコンの技術はこの20年で今はとても成熟していて大きな変化はないと言えますが、モバイルはそうではありません。このような劇的な変化はこれから何年も続いていくわけです。
 GPSで位置情報を確認したり、撮影した画像を自宅のパソコンや友人と手軽にシェアできるようになっていたり、さらには新しいアプリケーションを入れて楽しむということが頻繁になってきています。つまり、ユーザーが持っている個人情報にアクセスするといったことが増える。ということは同時にリスクも入りこんでくるわけです。このことを考えると、私どもも、その都度ベストのタイミングでアップデートしたセキュリティソフトをリリースしていくことになるでしょう。

――セキュリティソフトも迅速にバージョンアップされるのは、ユーザーにとって頼もしいですね。

フリアー:ユーザーのみなさんは多くのデバイスを使っておられますから、必ずそれぞれにセキュリティをかけたいと思っているはずです。私どももセキュリティソフトのナンバーワンで居続けるためには、あらゆることにトライしつつ、ユーザーが常にイノベーションとサービスを求めているということを意識しながら、モバイル市場の劇的な変化に継続して対応していかねばならないと考えています。

複数のデバイスを保護できる
「Norton One」とは

――2011年9月に、「Norton One」という製品サービス構想を発表されていますね。現段階で、ユーザーにどんなサービスを提供したいというイメージがあれば教えてください。

フリアー:発表させていただいたとおり「Norton One」はユーザーが所有するパソコンやスマートフォンなど、複数のデバイスに必要なセキュリティを管理できるサービスとして提供するものです。ユーザーの皆様には、例えばパーソナライズされたサービスや、私どものプレミアムサポートを活用できるものとして提供する、といったイメージを描いています。ノートン製品の中でもとりわけ、すべてのコンポーネントを備えた製品になると思います。

――具体的な発売日や料金体系などの構想もそろそろ固まってきた頃でしょうか。

フリアー:ええ、まだ最終的につめていく段階にまでは至っていないのですが……発売は、2012年のある時期に発表……ということで、それまでお待ちください(笑)。

2011年9月に発表された「Norton One」の構想は11月の「ノートン モバイル セキュリティ」の発表会場でも紹介された。1つのアカウントで自分や家族が持つ複数のパソコンやスマートフォンなどのデバイスのセキュリティを一元管理できるようになる

――最後にASCII.jpのユーザーに向けてメッセージをお願いします。

フリアー:ユーザーの皆様は、個人情報の管理には注意をはらってください。情報は価値が高く、失った時に初めてどんなに大事なものだったかがわかるものなのですから。その一番大事なものを、私どもの製品でお守りさせていただきます。

――ありがとうございました。

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