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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第143回

GPU黒歴史 不出来なドライバが息の根を止めたSavage 2000

2012年03月19日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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S3「Savage 2000」

 今回から再びGPU黒歴史に戻る。今回は記憶している人も多いであろう、S3社の「Savage 2000」をご紹介したい。

 S3の歴史そのものは、連載20回21回で解説している。20回は独立企業であった頃のS3の話で、21回は台湾VIA Technologiesの子会社になったS3の話であった。Savage 2000は独立企業であったS3の最後の製品というか、独立企業であったS3にトドメを刺した製品、とでもいう位置づけである。

VRAMをメモリーに使っても
性能が出なかったViRGE/VX

 Savageシリーズの話は20回の4ページ目でも触れている。まずはそれまでのS3の歴史を、簡単に振り返ろう。S3が1995年にリリースした「86C325」こと「ViRGE」は、同社としては初めて3Dエンジンを搭載した製品だった。性能はともかく、「ちゃんと3Dが動く」ことの意義は大きく、また価格も安いこともあいまって、ローエンドPCが3Dグラフィックに対応するという状況が成立し始める。これにより、WindowsゲームのDirect 3Dへの対応が促進されることになった。

 これに続く「86C988」こと「ViRGE/VX」は、VRAMあるいはWRAMをビデオメモリーに利用できることで、多少なりとも性能を改善できるという謳い文句であった。しかし実際には、むしろ性能が下がるという結果に終わる。

 S3の場合、この手の話がなぜか多い。例えばWindows初期に出た「86C928」と、その少し前に登場した「86C801/805」を比較したことがあったが、ベンチマークでは86C801/805の方が早い結果が出て、首をかしげた覚えがある。理論上はリード/ライトを行なうポートに、順次読み出しポートを追加したVRAMの方が、画面リフレッシュによるアクセスの制約が少なくなる。そのため、コントローラーからのアクセスの制限が少なくなって、結果として高速になる“はず”だ。

 しかし、SDRAM以降のコマンド対応メモリー(動作をコマンドとして送るメモリー)はともかく、当時の世代は信号線の微妙なタイミングで動作を規定しており、VRAMではさらに信号線が増える結果になっていた。今から思えば、この増えた信号線の制御が重荷になって、むしろメモリーコントローラーのスループットが落ちていたのではないか? という気がしなくもない。

 そのわりに、VRAMが高価だったこともあってViRGE/VX搭載製品の価格は、ViRGE搭載製品よりも高くなっていたから、製品が売れなかったもの無理のないところ。ただ一点、明確に優れていたのは、内蔵するRAMDACが220MHz動作だったこと。たった135MHzだった初代ViRGEを大幅に上回っており、拡大傾向にある画面サイズへの対応という点では好ましかった。しかし、逆に言えばメリットはこれだけ。ちなみにWRAMを搭載したViRGE/VX搭載カードを、筆者は一度も見かけたことがない。

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