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ラック単位の空調状況や温度を「見える化」

センサーでエネルギー管理ができるATENの「eco PDU」

2012年02月02日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月1日、ATENジャパンはデータセンター向けのセンサー対応PDU(Power Distribution Unit)「eco PDU」を発表した。既存のPDUの機能に加え、温度や湿度、エアフローなどの空調状態をラック単位で把握することが可能になる。

脱PUEに向かうデータセンターの動向

 発表会においてATENジャパン 企画部の栗田正人氏は、まずeco PDU展開の背景となるデータセンターのPUEの課題について説明した。ご存じの通り、PUEはデータセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割ることで、電力使用効率を数値化した指標だ。しかし、IT機器の節電効果を向上させても、空調など非IT機器がそのままだと、PUEは逆に悪化するという結果になってしまう。こうしたことから、今後はIT機器のみならず、非IT機器の電力利用を効率化させることが重要になるという。

ATENジャパン 企画部 栗田正人氏

 また、米国ではアメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)やエネルギー省などが、ラック内の冷却と気流管理を数値化したRCI(Rack Cooling Index)、RTI(Rack Temperature Index)など指標も、PUEとあわせて推進されていると栗田氏は説明した。現在、ASHRAEでは、推奨室温18~27℃、最大許容温度範囲は15~32℃などが最適なRCIとして規定されているという。

 こうした動向に対応し、最適な温度や空調を実現するためのデータ収集を可能にするのがeco PDUだ。eco PDUは、リモートからの電源制御や監視などを実現するインテリジェントPDUの機能に加え、接続されたセンサー経由で温度や湿度、エアフローなどの環境データ収集まで行なえる。ハードウェアは1Uの8ポートモデルが4機種用意されており、管理対象がPDUレベル/アウトレット(機器)レベル、電源が100V/200V対応などの対応が異なっている。標準価格はPDU監視対応の100V対応モデルPE6108Aが10万5000円(税抜)。

eco PDUのハードウェアとeco Sensorのソフトウェアでエネルギー管理を実現する

エネルギー管理を実現するeco PDUとeco Sensorとのシステム構成

 また、こうしたハードウェアPDUに管理ソフトウェア「eco Sensor」を組み合わせることで、データセンター全体のエネルギー管理が可能になる。ダッシュボードでは各ラックの電力のほか、環境のモニタリング、管理などがGUI環境でチェックできる。単なる見える化だけではなく、前述したRCIに従って、健全な冷却状態かどうかを一目で確認できるのも大きなメリットだ。

管理ソフトウェア「eco Sensor」ではラックが健全な状態かを一目で見られる

 ATENではPCやアナログのKVMスイッチに遠隔管理機能を追加できる1ポートのリモートアクセスユニット「KN1000」もあわせて発表した。電源制御やバーチャルメディアなどの機能にも対応し、キオスク端末の制御やテレワーキングなどの分野での利用が有効だという。標準価格は14万5000円(税抜)となっている。

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