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超解像技術を最適化! 放送画質をBD並みに引き上げる

REGZAの隠れた注目機能、新アニメモードはここがスゴイ!(後編)

2012年01月23日 11時00分更新

文● 編集部、写真●小林 伸

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輪郭表現はアニメ画質の肝

── さっそくアニメモードの効果について見せていただければと思います!

住吉 「映像に関しては今回、『Phantom ~ Requiem for the Phantom ~』を用意しました。REGZA Z9000のアニメモードを検討をする際に、深夜枠のアニメをすべてエアチェックしたのですが、自分の好みに合い、かつ映像的にも色々やりがいがあるということで選択したコンテンツです。

まずは2009年にテレビ東京系で放送された、Phantom ~Requiem for the Phantom ~を使って新アニメモードの実力を知る

 デモでは、実際にオンエアされた番組をAVCRECでエアチェックしたものと、同じシーンを収録したBD版のパッケージを用意し比較していきます。

 まず初めにオートモードですが、これはEPG情報を始めとした色々な情報を活用しながら、最適な映像設定になるよう調整するデフォルトのモードです。これをアニメモードに切り替えると、前回述べたような機能がオンになります。

 オートモードでエアチェックしたソースを見ると、どうしても輪郭線の付近にモスキートノイズ──小さな粒状のノイズがまとわり付いています。一方BD版では、ビットレートに余裕があるため、モスキートノイズは抑制されている。BD版でも多少ノイズが残っていて、深夜アニメをBD化したパッケージとしては中品位といった画質ですが、その差は感じられると思います。

 次にコンテンツモードをアニメに変えて、エアチェックしたソースを見てみます。少し引いた人物の頭部の付近にあるノイズが少し柔らかくなります。こうしたノイズはアップでは出にくいのですが、キャラクターの全身が描かれているようなシーンでは、輪郭線の数が増え、その情報でビットレートが食われてしまいます。そのぶんだけノイズも生じやすくなってきます」

左から順にオートモード、アニメモード、BD版の画像。3人並んだキャラクターのうち左側の少女を拡大。オートモードでは髪の毛の輪郭付近に小さなノイズが発生しているのが分かる。これをアニメモードに変えると、BD並みとはいかないまでもかなりの改善がみられる。背景の金網の表現にも注目

── 線画をベタ塗りするアニメは、映像処理でも実写とは色々と異なるノウハウが必要になると想像しますが、このあたりはいかがでしょうか。

住吉 「まずレグザエンジンCEVOには、平坦部を検出するアルゴリズムが入っていて、この部分には超解像処理をかけません。さらに実写映像とアニメ映像では平坦部の扱い方を変えており、アニメのほうがより平坦を取りやすくする設定になっています。同時に輪郭線もくっきりする方向に働く。アニメモードでは、こうした細かなパラメーターの調整をノウハウとして盛り込んでいます。

 ただし、輪郭の強調自体はあまり極端にはやっていません。深夜アニメの多くは720p制作で、放送波に乗せるためには1920×1080ドットあるいは1440×1080ドットにアップコンバートしなければなりません。そのためどうしても斜め線にジャギーが出やすいのです。ここを強調すると、輪郭はハッキリしますが、今度は逆にジャギー感が気になる。この部分のバランスを取った形です。より画質にこだわりたいと言う人は設定を追いこんでいってほしいですね」

アニメ好きなら、エッジにこだわれ!

 詳細調整メニューに含まれる「輝度エッジ補正」は、手動では0~10の数値が選べ、10まで上げるとかなりクッキリとした印象となる。デフォルトの状態でBDの画質に近付けることが開発コンセプトとのことで、標準ではこれよりも弱く補正がかかっているとのこと。

詳細調整で、輝度エッジ補正/色エッジ補正をカスタマイズすることで、アニメならではのメリハリの利いた映像を追求できる

 前回の記事でも紹介したが、輪郭補正を最大にかけてもプリオーバーシュートが付かないという点もポイント。オートを基本に好みに応じた設定を選ぶといい。

 輪郭補正とは別に色エッジを補正する項目も用意している。ここを調整すると色の境目を急峻にすることができる。アニメの場合、黒線で輪郭が描かれることが多いが、住吉氏によると「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版・破」の赤い海のシーンなど、線ではなく色と色によって作られた境界がクッキリと分かるという。

新アニメモードを氷川竜介氏がチェック!(1)

劇場版エースをねらえ!(セル画時代の劇場アニメ)
 アナログ時代最初の頂点です。出崎統監督の得意とする映像技法と物語内容の調和がとれた作品だと思います。チェックポイントは撮影の効果で、温度や湿度さえ感じさせる多彩なフィルタワークと、透過光・入射光など「光それ自体」を撮った表現ですね。階調の豊かさと色彩効果の再現性によって、心理の高まりもより確かに感じられます。

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