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超解像技術を最適化! 放送画質をBD並みに引き上げる

REGZAの隠れた注目機能、新アニメモードはここがスゴイ!(後編)

2012年01月23日 11時00分更新

文● 編集部、写真●小林 伸

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取材では東芝側で用意した映像ソースのほかにも、新旧のさまざまなアニメ作品を鑑賞した

原画の解像度を指定して、適切な超解像を!

── 前回の記事では、原画解像度やフレームレートをマニュアルで指定することでより厳密なエンハンスが可能になるというお話しでした。

原画解像度の設定画面

住吉 「はい。詳細設定に下りていくことで、原画解像度の設定が選べます。普通使わないような解像度がある点からも、アニメ特有のものだとお分かりいただけると思います。これはどのあたりの周波数帯域から超解像度を利かせるかを決めるパラメーターとなります。例えば、SDをアプコンしてBDに収録したような映像であれば、720×480ドットか640×480ドットの設定を選んでいただくと、それに最適化されます。

 オートの設定では、入ってきた信号を分析して、周波数帯域がどのくらいまであるかを見ています。通常は1280×720ドット~1920×1080ドット当たりの範囲で細かい数値を行ったり来たりしていますが、シーンごとに自動的に値を変えるような処理は極端にしていません。演出上、霧がかかったり、ぼかすようなシーンがありますが、これがクッキリしてしまっては制作者の意図に合わないだろうと判断したためです。

プログレッシブ処理は、アニメの動きを正確に決めるための設定

 詳細設定にはもうひとつ、プログレッシブ処理の設定があります。実際のアニメは24p制作がほとんどで、30p制作はCMだったり、歌番組に挿入されるグラフィックスだったりと限定的です。オートの設定では、送られてきている信号が、24p制作の場合は2:3プルダウン、30p制作の場合は2:2プルダウンが自動で働きます。“ビデオ”というのはプルダウンは働かせず、通常のIP変換だけをする排他的なモードです。30p制作では2:2プルダウンになりやすく、2:3プルダウンには全然入らない。24p制作であれば、2:3プルダウンには入るけれど、2:2には入らない」

REGZA Z3/ZP3にはヒストグラムを参照し、映像のタイプを判別する。例えば、アニメは同じ色で塗られる面積の広いアニメは、特定の輝度がピンと跳ね上がる傾向が強い

氷川 「テレビアニメはおっしゃるとおり720pで作られているものが多いのですが、劇場版ではきちんと1080pで制作されている場合も多いと思います。映画枠で放送されている劇場用アニメが相当すると思いますが、このあたりも自動判別するのでしょうか」

住吉 「原画解像度のデフォルト設定はオートになっています。入力している映像の周波数帯域をヒストグラムで見る回路があって、その形状で映像の内容がある程度分かります。つまり基本的にはオートの設定でいいのですが、映像の表現として敢えて周波数成分を抑えている場合、元々の解像度が低いと判断してしまう場合があります。劇場アニメなどでは、明示的に1920×1080ドットを選択してもらえれば、原画解像度が固定され、それに適した超解像処理が働くと思います」

氷川 「画像処理以前の問題として、入り口にどんなソースが来ているかを知る必要があるということでしょうね」

住吉 「基本的な考え方としては、どんなソースが来てもデフォルトはオートで済ませられるように、ソースを自動的に分析して最適な画質になるよう動かしたいと考えています。分析能力を更に上げて、元の原画をこんなものだったと突き詰めるのはひとつの手ですが、再生機器と連携して情報をシェアしながらやっていくやり方もあるでしょう。

 実はソースがアニメかどうかを、自動的に分析するために、ヒストグラム分析も活用しています。アニメの場合、平坦部の面積が広いので、ある領域に急峻な山ができます。これが通常の映像であれば、幾つか山が連なったようなヒストグラムになるはずです。これを自動的に分析して、アニメだと判断した際には、アニメモードに近い処理をする。このあたりはよりインテリジェントになるよう追求していかなければなりません。

 今回の主旨からは若干ずれるのですが、REGZAサーバーは、REGZAコンビネーション高画質モードというものを持っています。REGZAサーバーがREGZA Z3につながったと認識した際、DVDを再生して1080pにアプコンして送られてきている……といった情報をやり取りし合う仕組みを持っています。

 原画解像度やコンテンツのジャンル情報なども共有していて、それに合わせて適切な設定を選びます。多分、両方をやらなくてはいけない。その点を見据えて、REGZAを進化させていくということです」

新アニメモードを氷川竜介氏がチェック!(2)

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