問題はKeplerの構成である。実は2つの情報が手元にあって、どちらが正解なのか筆者にも判断が付きかねる。ロードマップ図は片方の情報を元にしたものだが、これによればハイエンドの「GeForce GTX 680」は「GK100」コアをベースとしており、2012年の第一四半期遅く(3月位?)に出荷開始される。
トップエンドである「GeForce GTX 690」は、このGK100コアを2つ搭載したもので、「GK110」というコード名が与えられている。あえて別のコード名を与えているあたり、2つのチップ間の接続を従来のPLX製のPCI Expressスイッチとは異なる、なにか別のものにしているのかもしれない。こちらはやや遅れて4月か5月になるという。
このGeForce GTX 680の下に、ややデグレードした「GeForce GTX 670」が投入されるのはGeForce 500世代と同じである。
GK100コアより下のメインストリーム向けに投入されるのが「GK104」コアで、市場投入はこちらのほうが早く2012年1月中という話である。こちらは「GeForce GTX 660 Ti」と、「GeForce GTX 660」がラインナップされるだろう。
さらにその下には「GeForce GTX 650」が用意されるが、こちらは「GK105」コアとなる。当初用意されるラインナップはこの4種類(GK110を数に入れれば5つ)ということになるが、これだけではローエンド製品がカバーできない。当然、もっとローエンドのコアを用意することになるだろう。それが図に示した「GK107」というコアになる。
GK100がキャンセルされた?
情報が錯綜するKepler世代
もうひとつの情報とは、「GK100は消費電力が大きすぎてキャンセルになった」という話である。この結果、GK104がロードマップ図でのGK100の位置に来るというものだ。そのためGeForce GTX 680/670はGK104ベースとなり、GeForce GTX 660シリーズがGK106コア、エントリー向けはGK107になるという話である。この話では、GK110はGK104×2という構成になるという。
もっとも、従来のNVIDIAはメインストリームに2種類のコアを投入してきたから、このままではFermi世代で言うGF116に相当するコアがないことになる。そんなわけで製品ラインナップ的には、どちらの情報でもやや疑念が残るところだ。
ちなみに、名前はともかくシェーダーの構成に関しては、両者の情報がまったく異なっている。もしGK104がGeForce GTX 680として投入された場合、性能的にそれで足りるのか? という構成になっているため、今回は前者の情報をベースにロードマップ図を作成した。もっともアーキテクチャーのメジャーチェンジがあると、シェーダー数を単純に比較してもあまり意味はないのだが……。
もうひとつ情報が錯綜しているのが、メモリーの構成だ。2つの情報では片やXDR2 DRAM、片や512bit GDDR5という話になっているが、筆者としてはどちらも考えにくい。XDR2 DRAMが非現実的なことは前回説明したとおりだ。一方の512bitだが、GDDRはチップあたりのバス幅が32bit幅だから、512bitだと16個、基板両面に配しても片側あたり8個である。不可能ではないが、実装はかなり大変だろう。
無理してそこまでバス幅を増やさなくても、今では6GHz近い速度で動作するGDDR5チップが簡単に手に入る。もちろんここで言う「簡単」はAMDとかNVIDIAのレベルならば、という意味ではあるが。従来のNVIDIAは4GHzあたりまでしか利用していないが、これを6GHzまで引き上げると、それだけで帯域が5割増える計算になる。要求される性能レベルがどの程度かにもよるが、Kepler世代ではこれで十分ではないか、と筆者は考える。
ちなみにPCI Express 3.0の対応に関しては、ローエンド向けのGK107を除くと、基本的には3.0に対応するという話である。こちらもいったんは検証中止という話だったが、やはりパートナー企業各社からの要望(突き上げとも言う)がかなり強かったようで、Radeon HD 7970同様にサポートする方向にあるようだ。

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