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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第130回

AMDサーバー製品の顔役に聞くBulldozerの真実 前編

2011年12月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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ジョン・フリー氏

 AMD CPUロードマップのまとめとして、前回予告したとおり、AMDにてサーバー&ワークステーション担当プロダクトマーケティングディレクターを務めるジョン・フリー(John Fruehe)氏へのインタビューをお届けしたい(編注:インタビューは11月上旬に行なわれた)。

 フリー氏はAMD Blogでも定期的に情報を発信しており、一種のAMDの顔である。日本ではクライアント向けに“兄貴”が煩雑に情報を発信していたが、本国でのサーバー向け製品でこの役割を担っている担当者、と考えればわかりやすい。

Bulldozerベースのクラスターで
TOP500の1位も狙える!?

――従来のAMD製品では、まず最初にサーバー向け、ついでデスクトップ向け、最後にモバイル向けという順に新アーキテクチャーを投入したと記憶しています。ですがBulldozer世代では、デスクトップが先で続いてサーバーとなりました。これはなぜでしょう?

フリー「我々は、『必ずこれが最初』と決めているわけではない。すべての製品にはプロダクト・ライフサイクルというものがあり、例えばサーバーとデスクトップではライフサイクルが異なる。そのため我々はセグメントごとに、いつ製品の切り替えるかを決定している。一般にデスクトップ向けのライフサイクルは12ヵ月だが、サーバーは18ヵ月だ。どちらが先に出るかというのは、その状況に応じて変わる。

Opteron 6200シリーズ

――ただ現実問題では、サーバー、特にHPC向けに新しい製品が望まれていますよね?

フリー「そのとおり。HPCのマーケットは大変重要だ。我々はすでに出荷を開始しており、数日後には顧客の手に渡ることになると思う。来週にはいくつものHPCクラスターに、この新製品(編注:Opteron 6200/4200)が搭載される予定だ。

――これでTOP500のNo.1ポジションが狙えますか?

フリー「そうなるといいな、とは思うがね(笑)。特に16コアOpteronにはその可能性がある」

――例えばSandia(SNL:サンディア国立研究所)は、すでにBulldozerベースの製品を入手しているのですか?

フリー「もちろん。SandiaにOak Ridge(ORNL:オークリッジ国立研究所)、Los Alamos(LANL:ロスアラモス国立研究所)、PNL(パシフィック・ノースウエスト国立研究所、いずれも米エネルギー省所管)や、そのほかにも多くの研究所にね。ヨーロッパならば例えばフランクフルト大学とかシュトゥットガルト大学などに、すでに提供されている」

「この中で、Los AlamosのみがLlanoを使った構成となっている。ただ、我々はAPUは今のところ、サーバーには適していないと思っている。いつかはAPUに移行するだろうとは思う」

――なぜ今は、APUがサーバーに適していないと思われるのでしょう? パフォーマンスの観点ですか? それともソフトウェアの対応の問題ですか?

フリー「そうではない。理由はECCメモリーだ。今のAPUはECCメモリーに対応していない。Los Alamosは高密度実装の研究プロジェクトであって、まだアプリケーションを開発している段階だ。このレベルならばECCメモリーがないことは問題にならない。ただそれが完成して、これでクラスターを組もうとしたら、ECCメモリーが必要になる」

――なるほど。AMDとしては、近い将来のAPUでECCメモリーをサポートする予定は?

フリー「今のところ、それについて話すことはできないね。ただ、もしサーバー向けにAPUをリリースすることがあれば、そのAPUにはECCメモリーが使われることになる」

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