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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第130回

AMDサーバー製品の顔役に聞くBulldozerの真実 前編

2011年12月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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Bulldozerはパワー・ゲーティングを生かして
ターボ時の動作周波数を上げる

――(Bulldozerの)消費電力についてはいかがでしょう?

フリー「消費電力は、製品に最適な範囲になっていると考えている。これはいくつかの改善により実現した。ひとつは、新しく『C6ステート』を追加したことだ。ご存知のとおりBulldozerは、モジュール構造になっている。そこでC6ステートにより、不要なモジュールの電力供給を完全にカットする仕組みを搭載した。これにより、待機時の消費電力を最大46%カットしている」

「これに加えて我々は、低電圧のDIMMと超低電圧のDIMMもサポートしている。インテルはまだこれらをサポートしていない」

Bulldozerの利点に関するスライドで、中央が電力に関する項目。「6 power band」とは、モジュールごとに独立した電源プレーンと3次キャッシュプレーン、それ以外(メモリーコントローラー、Hyper Transport Link)のプレーンで計6つという勘定

――AMDは1.25V駆動のDIMMを、公式にサポートするのですか?

フリー「現時点では、公式には未サポートだ。まだ1.25VのDIMMは存在していない。これらは今後数年の間に登場することになるだろう」

「我々はJEDECで標準化された、1.25Vで1600MHzのDIMMをサポートする。これは公式にサポートする予定だ」

――それはOpteronのみのオプションとなるのでしょうか? デスクトップ向けのZambezi(AMD FX)は、1.25V DIMMをサポートしていなかったと思うのですが?

フリー「私はOpteronのみだと理解している。メモリーコントローラーそのものは、どちらもまったく同じものだ。ただしメモリーの互換性評価のプロセスは異なっている」

――もうひとつ確認です。C6ステートでは、Bulldozerはモジュール単位でクロック・ゲーティングのみならず、パワー・ゲーティングも行なっているということですね?

フリー「そのとおり。各モジュールごとにパワー・ゲーティングの仕組みが用意されており、そのモジュールに属する2つのコアがどちらもアイドルになると、そのモジュールへの電力供給そのものを停止する。旧来の製品は、コア全体がひとつの電圧プレーンで構成されていたので、あるコアがアイドルになっても、電力供給そのものは継続されていた」

――なるほど。そのためにあるモジュールが停止中は、ほかのモジュールはTurbo CORE機能により高い動作周波数に上げやすい」

フリー「そのとおりだ。だからBulldozerの場合、全コアが稼働中はTurbo COREで500MHzの周波数引き上げが可能だが、半分のコアが停止中は最大1GHzの引き上げが可能になっている」

Turbo COREの動作イメージ。Max Turbo Boostの際には、負荷0のモジュールには電力が供給されておらず、これらのコアの消費電力分まで稼働コア側の上乗せに使われる

「これがインテルの場合、例えば2コアが有効だと400MHzの引き上げが可能だが、我々は16コア全体で500MHzの引き上げが可能だ。8コアならば、1GHz引き上げられる。このように、動作周波数の引き上げに大きなヘッドルームがあるのが特徴だ」

――しかし私の理解では、Opteronの6200シリーズだと最大でも3.3GHzで、Turbo CORE稼働時の最大動作周波数でも3.6GHzでしかないですよね?

フリー「それは製品による。例えば『Opteron 6262』ならば1.6GHzから2.9GHzに上がり、1.3GHzの向上だ。元々の動作周波数が低いものほど、ヘッドルームは大きくなる。もしもっと高速な製品が欲しければ、例えば『Opteron 6220』ならば、3GHzから3.6GHzで600MHzの高速化ということになる」

Opteron 6200/4200のラインナップ

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