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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第77回

タブレットPCの完成形!? ThinkPad X220 Tabletを試す

2011年10月13日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 その代わりヒンジ部の堅牢性は相当なものだ。軸の構造がノーマル型よりも華奢なので、「まったくグラつかない」とまでは言えない。しかし、机の上で使う程度ならヒンジの違いはあまり感じないし、膝の上で使っても揺れは少ない。しっかりと意志を持って回さないと、ヒンジが動くことはなさそうだ。

 ディスプレー部には、マルチタッチ(2ポイント認識)対応の静電容量式センサーと、電磁誘導ペンが併用できるセンサーの両方を搭載している。どちらのセンサーも非常に精度が高く、ずれやよれを感じることはない。ペンで文字や絵を書いたり、書類に書き込みを加えているような時には、自動的にマルチタッチセンサーがオフになる構造なので、非常に自然に使える。

内蔵のペンを使って書き込みも可能。撮影の関係でディスプレー面から手を浮かしているが、実際には紙に書く時のように、くっつけて使っていい

 静電容量式センサーだけを搭載した製品だと、やはりペンで細部を書いていくのは難しく、こうした「マルチセンサー型」の方が有利なのだろう。ディスプレー枠とパネル部はツライチになっていて、「枠」の存在をあまり気にすることなく使える。

スタイラスペンは本体右側に収納できる。ペンのお尻にもボタンがあり、多くの場合こちらで書くと「消しゴム」として機能する

タブレットモード。縦に持って指でスクロールさせながら使う。主に情報の閲覧に向いている

 ただ一方で、X201 Tabletとの差を感じなかったのも事実である。OS側での機能に変化がなかったこと、センサー部がほぼ完成に近づいていることなどが理由だろう。

性能は十分だが「放熱位置」には注意

 パソコンとしての中身に目を向けてみよう。すでに述べたように、X220tはX220をベースとした機種。すなわちパソコンとしての中身も、ほぼX220に準ずる。

 Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「4.1」。ボトルネックは内蔵GPUという、現在のCore i系プラットフォームでは一般的な値である。今回試用したモデルはCore i5-2520M(2.50GHz)、メモリー2GBを搭載した「42962AJ」であるので、処理能力そのものではトップクラスではない。CPUにはCore i7-2620M(2.70GHz)を選択することもできるが、むしろそれよりもメモリーをがっちり増やしておきたい。

X220tのWindowsエクスペリエンスインデックスの値。最低値はグラフィックス。評価機はメモリーが2GBなのでメモリーの値も低いが、4GBにすれば大幅に改善される。それ以外の値は上等

 バッテリー駆動時間は、バッテリーベンチマークテスト「BBench」の計測によると、最長で約2時間27分となった。モバイルノートとしては不満な値だが、必要ならば別売の6セルバッテリーなどを併用することになるだろう。その分重くなることは覚悟せねばならない。

評価機では、バッテリーは3セルのものが添付されていた。6セルバッテリーも搭載できる。ACアダプターは比較的コンパクト

BBenchによるバッテリー駆動時間テスト
高パフォーマンス設定 省電力設定
約1時間24分 約2時間27分

 放熱はThinkPadらしくしっかり処理されている。アイドル状態ではほとんど熱を感じないし、フルパワー動作時であっても、少なくともキーボード側・パームレスト側は不快なほど熱を発することはなかった。

各部の温度 放射温度計による測定、室温は24度。フルパワー時はH.264動画エンコード状態

 ただしX220tにおいて特殊なのは、ディスプレーを回転させた上で「縦に持つ可能性が高い」ことだ。その際、放熱口は上か下にくる。上に来た時はあまり問題とならないだろうが、ヒンジ部を左手で持つ(すなわち右利きの人)の場合、放熱口は下に来る。排気温はそれなりに熱い上に、ペンを使うようなアプリケーション(特にグラフィック系)は処理負荷が大きくなりやすい。1.66kgの重量を手と体(とおなか)で支えようとすると、放熱にはちょっと不快感を感じる。このあたりは機器の特質であり、運用でカバーできるところだ。利用時には少し注意が必要だろう。

本体背面。ヒンジとバッテリーがある関係もあってか、コネクターは右側の電源のみ

本体左側面。左から放熱口、USB、アナログRGB出力、DisplayPort出力、USB、無線機能スイッチ

本体右側面。左からExpressCardスロット、USB(Powered USB対応)、ヘッドホン、スタイラス、セキュリティーロック

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