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アプコンはロマンだ! DVDも携帯ゲームも大画面で楽しめっ!! 第2回

豪華なアプコン! AVアンプで映像も音も迫力アップ

2011年08月02日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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 前回は比較的安価に購入できる外付けのアップコンバーターを紹介したが、今回は最新のAVアンプが備えるアップコンバーターに注目し、SDソースのコンテンツがどこまで高画質化できるかを検証する。

どうしてAVアンプでアップコンバートする方が
画質がいいのか?

 デジタル放送対応の薄型テレビにはアップコンバート機能が必ず備わっているが、高性能なアップコンバート機能を備えるのは上級クラスのものだけで、多くの場合は解像度変換の精度は期待できないことが多い。

 一方で、AVアンプが備えるアップコンバート機能は平均的な薄型テレビよりも優秀なものが搭載されることが多い。それはなぜだろうか?

 まず、プレーヤーとテレビを直結しても映像が映るのに、わざわざAVアンプを経由することで画質が劣化してしまうのは許されないということ。あらゆるプレーヤーなどの映像機器をAVアンプを経由してテレビに接続するのは、映像の切り替えと音声の切り替えをまとめて行なえるため、便利だからだ。しかし、ここで画質劣化が発生するようではあまり意味がない。

 事実、映像信号と音声信号が別々のケーブルで伝送されるアナログ伝送が主体だったDVD時代の前期までは、画質劣化を嫌って映像信号はテレビに直結し、音声出力だけをAVアンプに接続するユーザーは少なくなかった。

 ソースを切り替えるたびに、AVアンプで音声入力を切り替え、テレビ側で映像入力を切り替えていたわけだが、当時のAVアンプの映像処理性能を考えると、使い勝手を犠牲にしてもその方が画質が良かったのだ。

 これが、HDMIケーブル1本で映像も音声も伝送できるデジタルハイビジョン時代になると、事情が大きく変わってきた。本来ならテレビと直結したい映像信号もAVアンプを経由することになるので、画質劣化をなくす必要が出てきたのだ。その結果、現在では画質劣化ゼロどころか、より高画質な映像としてテレビに送れるほどの実力に成長したわけだ。

 ちなみに、AVアンプメーカーがアップコンバートなどの映像処理を行なうコアチップを自社開発する例はあまりなく、主にMarvell社(QDEOテクノロジー搭載チップが主力)やIDT社(HQV技術で知られる)、STMicro社(ファロージャDCDiシネマ技術で有名)などのLSIを使用することが多い。

 こうした高性能チップは当然高価であり、一般的な薄型テレビや低価格な外付けアップコンバーター製品に搭載できるものではない。当然、アップコンバートした画質にも大きな差が現れるというわけだ。

高画質にも高い実力を発揮する3機種の精鋭を紹介

オンキヨー「TX-NA579」

オンキヨー「TX-NA579」

パイオニア「VSA-921」

パイオニア「VSA-921」

ヤマハ「RX-V2067」

ヤマハ「RX-V2067」

 今回紹介するAVアンプはこの3機種。いずれも高性能なスケーリング回路を備えたアップコンバート機能を搭載するモデルで、ミドルクラスの製品が主体となる。

 製品の価格帯にバラつきがあるのは、各社とも優れた高画質性能を備えたモデルであることを前提に選択したためだ。

 オンキヨーの「TX-NA579」は、映像処理回路にMarvell社のQDEOテクノロジー搭載のLSIを採用。スケーリング回路の実力としては、フルHDの1920×1080ドットどころか、なんと4K2K解像度(3840×2160ドット)にまで対応している。

 このほか、96kHz/24bitにも対応するネットワークオーディオ機能や、インターネットでラジオが視聴できる「radiko.jp」対応、iPhoneなどとのデジタル接続対応と、機能も万全だ。

 パイオニアの「VSA-921」は、映像処理のためのLSIについては詳細が公開されていないものの、すべての入力信号を最大1080pに変換する高性能アップスケーラー、I/P変換回路等をきちんと搭載している。

 さらには、液晶やプラズマ、プロジェクターなど、ディスプレーに合わせた最適な画質設定を備え、自動音場補正で測定した視聴距離をも考慮し、最適な画質に自動調整する機能までも備える。

 このほか、96kHz/24bitにも対応するネットワークオーディオ機能、iPhoneとのデジタル接続のほか、無線LAN接続でPCのiTuneの音楽を再生できる「AirPlay」などにも対応。また、PCにインストールする接続・設定ソフト「AVナビゲーター」を備え、複雑な機器との接続や設定をスムーズに行なえる親切機能まで備えている。

 ヤマハの「RX-V2067」は、映像処理回路にはIDT社の最新LSIである「HQVプロセッサー YHD1900」を搭載。

 音場の自動補正機能は最新のもので、最大8ヵ所のマルチポイント計測や、独自の音響技術「シネマDSP」の効果を最適化する新技術を導入した「YPAO-R.S.C.」を搭載する。96kHz/24bitに対応したネットワークオーディオ機能に加え、インターネットラジオ「vTuner」も楽しめる。

 当然ながら、「ドルビーTrueHD」や「DTS-HD Master Audio」などのHDオーディオ、3D映像や「ARC」(オーディオリターンチャンネル)対応といったAVアンプのトレンド機能はいずれも万全だ。

主な仕様比較
オンキヨー
TX-NA579
パイオニア
VSA-921
ヤマハ
RX-V2067
映像入力 HDMI×4
D4×2
コンポーネント×2
コンポジット×5
HDMI×4
コンポーネント×2
コンポジット×5
HDMI×8
D4×1
コンポーネント×4
Sビデオ×5
コンポジット×5
映像出力 HDMI×1
D4×1
コンポーネント×1
コンポジット×2
HDMI×1
コンポーネント×1
コンポジット×1
HDMI×2
コンポーネント×1
Sビデオ×2
コンポジット×2
パワーアンプ数 7 7 7
実売価格 4万8000円前後 7万円前後 11万8000円前後

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