セグメントとは何かというと、言うなればひとつのバスの管理単位である。たとえば図3左側は最小構成のケースの図である。チップセットからPCI-Xが出て、これに4つのスロットがぶら下がり、これでひとつのセグメントを構成する。
拡張スロットの豊富な大規模システムを構築する場合は、図3右のように、チップセットから出てきたPCI-Xの先に、ブリッジチップを接続することが可能だ。図の場合は最大8スロット構成になるが、チップセットとブリッジ間、および各々のブリッジの先は、別々のセグメントとして管理される。
実はPCI-Xに限らず、PCIやAGPですらも、セグメントを使って大規模システムを構築できる。しかしPCIはともかく、AGPで複数スロットというのは見たことがない。PCIに関しては、基板上にPCIブリッジを搭載して、その上に複数のPCIデバイスを搭載したマルチファンクションカードなどでよく利用されている。
話をロードマップに戻そう。2002年7月には「PCI-X 2.0」がリリースされる。PCI-X 2.0では「Mode 1」と「Mode 2」という、2つの動作モードが定義された。Mode 1はPCI-X 1.0と同じ動作モードで、Mode 2は信号電圧を1.5Vに落とす一方で、転送速度を倍の266/533MHzにしてさらに高速転送を可能としている。さすがに3.3Vのままで266/533MHz駆動は無理だったようだ。
PCI-X 2.0のリリースタイミングは、新しい世代の規格である「PCI Express Revision 1.0」がすでにリリースされた時期でもあったので、当初からPCI-X 2.0はPCI Expressへ移行するための過渡的な製品、という位置づけがなされていた。
PCI-SIGで「PCI-X 2.0 Electrical Subgroup」の議長を勤めていたドワイト・D・ライリー氏と筆者が2002年に話をした際のことだ。ライリー氏は「すでにサーバーなどでPCI-Xは広く使われており、顧客が多くの投資をしている。いきなりこれをPCI Expressに移行させるのは、顧客の投資保護という観点から好ましくない」と述べて、PCI-X 2.0は当初からPCI Expressにブリッジ経由で接続される形態を考えている、と説明した。
直接チップセットから、PCI-X 2.0が出る製品もなくはない。だが実際に多く利用されたのは、チップセットからまずPCI Expressが出て、その先にPCI Express/PCI-X 2.0ブリッジチップが入り、PCI-X 2.0スロットが出てくるという形態だった。
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1992年の仕様策定から数えて、20年近くにわたって使われてきたPCIやその派生型であるが、最近になってようやく廃止される傾向が強まってきた。
もともと共有型バスなので、複数のデバイスが同時に通信できないし※1、通信そのものも半二重(あるデバイスが送信と受信を同時には行なえない)なので、転送速度も理論値で133MB/秒(32bit/33MHzのPCI)から1GB/秒(64bit/533MHzのPCI-X 2.0)程度。実効転送速度はおおむね半分程度だから、20年前はともかく昨今の基準では、すでに高速とはいえない。
※1 Delayed Transactionや、PCI-Xで搭載された「Split Transaction」といった手法で効率を上げることはできたが、文字どおりの同時通信はできない。
またパラレルバスのため、どうしても配線が多くなるのは否めず、PCでは許容範囲でも、携帯電話などでは配線そのものの占有面積が許容できないレベルである。
幸いにも後継となるPCI Expressは、順調に普及している。最近はマザーボードの中にはPCIを搭載しないものも出現しつつある。次はこのPCI Expressについてご紹介する。
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