受け手が変わらないと音楽は斜陽のまま
―― いまはアーティスト個人でも、レーベル的な活動が可能です。すると配信サイトの立ち位置はどうなるのかなと思うのですが。
竹中 さっきのセルフプロデュースの話と一緒ですが、もし僕がすごいイケメンで技術もあって商売も……。
―― 技術はあるじゃないですか。
竹中 あっ、あの技術はあります! でもそれを自分で言ったら「何言ってんの?」ってことになるじゃないですか。
―― はい、じゃあ書いておきましょう。竹中さんはイケメンでもあります。
竹中 ……実はレコード会社やレーベルの存在意義もそこにあって、「こんなにすごい才能が」なんてことを自分で言うと、日本では終わってしまう。それを継続してやれる存在としてレーベルやマネージャー、メディアというものがある。そのシステムをどう上手く変えられるかが、ここ10年くらいの動きだったと思うんです。ただ、残念ながら受け手があまり変わっていない。受け手が変わらないと音楽は斜陽のままで変わらないと思いますよ。
―― たとえば一方的なメディアの情報を消費するのは止めてとか、そういう話?
竹中 と、昔はそうだったという話を良くしますけど、それは今だって変わっていないですよ。たとえばインターネットのファーストソースはほぼ新聞ですよ。横で起きている火事を記事に仕上げるようなこと、それが草の根的に起こるようなモデルを持てていない。
―― そういう受け手が育つとOTOTOYで音楽が売れる?
竹中 音楽全体が活性化すると思います。僕はOTOTOYで大儲けしようと思っているわけでなくて、音楽をなんとかしたいんですよ。今ヤバイですよ。
―― 確かにヤバイです。
竹中 海外の音楽がほぼ紹介されないのも危機感のひとつですけど、きちんと紹介しても、聴き手も教育されていないので、まともな反応を返せない。国内だって音楽的な文脈で紹介できるメディアが減ってきているんですよ。テレビにしてもラジオにしても、ほぼタイアップじゃないですか。でも過去のメディアマジックは使えない。新しい方法を考えなければならない。だけど僕はズルをするのがイヤなので、こういう方法でやっていくしかないと。
―― 真面目だなあ。
竹中 OTOTOYは微々たるものですけど、メディアとしていろんなものにスポットライトを当てて。レビュアーが何が良かったかを書くことで、それに共感できる人が買うという、音楽の健全な購買行動を起こしたいということでやってるんです。
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