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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第48回

日本の「ナップスター」を作った天才プログラマー

音楽関係者各位、あなたは竹中直純を知っているか

2011年02月19日 12時00分更新

文● 四本淑三

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自然に広がるようなチョイスを地道にやっていくしかない

―― じゃあ、やる側の話をしましょう。OTOTOYはレーベルだけじゃなく個人でも音楽を売れるんですよね?

竹中 ええ。契約書をメールで送って、それを読んでOKであれば、同じものを印刷してお送りします。それが帰ってきた時点で配信開始します。

―― 利益の分配は?

竹中 7:3です。(作者の)70%のうち7.7%は著作権使用料として、著作権管理事業者に代行して支払します。未登録の場合は相談ですね。絶対に登録しないからという場合は払わないケースもあります。でも売れるかどうかは別の話ですよ。

―― 分配率は結構高いですね。

竹中 レーベル側からは喜ばれていますね。普通に流通へ流すとレーベル側には売価の2〜3割しか戻って来ないんですが、OTOTOYはその何倍も返せるわけです。「意外とOTOTOYやるじゃん」と。

―― 僕は最近、ボカロの取材が多いんですけど、ボカロはどうです?

竹中 ゆよゆっぺさんは配信しています。それといま、クリプトンさんのKarenTの音源を扱う準備をしているんです。ボカロでどういう売り方があるかを考えたいと思っていて。やっぱり壁が高いんですよ。関係ある人とない人の温度差が激しい。ボカロは局所的というか、盛り上がりが狭いというか。

ゆよゆっぺ / Wall in the presence (但しボーカロイドではなく、ゆよゆっぺ氏自身がボーカルをとるアルバム)

―― 知らない人は全然知らない世界ですからね。

竹中 アニメ業界みたいにタコ壺化して疲弊していかなければいいなと思っています。アニメは決まったパイがあって、その中の何パーセントが買ってくれるか。そこが勝負なわけでしょ? ジブリ以外は。そんなのつまんないわけで、だから海外に行こうという話にもなるし。

―― じゃあボカロはダメ?

竹中 いや、ボカロは全然いいと思いますよ。Pがファンを集めているわけで、Pがボーカロイド以外のところで何かに挑戦すると付いていく。いろんなチャンスを与えていると思いますよ。そういう構造というのは、旧来のミュージシャンとファンの関係と全然変わらないので。マイクロマーケットが沢山できて、健全だと思いますね。

―― 最近のニコニコ動画はどうみてます? 例えばOTOTOYのプロモーションにニコニコ動画を使うとかいう方法は考えられませんか?

竹中 ストリームメディア全般とOTOTOYの関係で言えば、まずDOMMUNEの二番煎じのようなことをやってもDOMMUNEを超えるのはとても難しいというのと、音源配信をしているサービスだけに原盤権の許諾をきちんと得ないといけないんで、そこがまず大変なんです。それから単なる「プロモーション」であれば各レーベルでもできることで、僕らがやるメリット、意味がない。僕らは音楽を「こういうところが良かったですよ」と第三者として紹介して、あとはTwitterとかFacebookみたいなところで自然に広がるような、いいチョイスを地道にやっていくしかない気がするんですよ。

―― 本当に真面目だなあ。

竹中 だからセルフプロモーションが下手なんですよ。「へぇーSpotifyか。2年前くらいに流行ってたよね。2年前くらい前に会員になったわー」とか言ってれば、もっとモテるんでしょうけど(笑)。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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