「実は、レーベルがなくなるんです」
年明け早々に大きな動きがあるというので、昨年暮れに会合を設定した際のこと。音楽レーベル「LOiD」のディレクターである村田裕作さん、通称「村田さん」(関連記事)から最初に出た言葉がこれだった。
2010年末、レーベルの親会社であるハッチ・エンタテインメント株式会社は、親会社のエイベックス・マーケティング株式会社に吸収され、レーベルの消滅と全タイトルの廃盤が決定した。インターネット系のミュージシャンにフォーカスしたコンセプトでスタートした会社ではあったが、CDの販売不振には勝てなかったのである。
そのハッチの人気レーベルが、ニコニコ動画などで活躍する作家を集めたLOiDだ。ボーカロイド等からネット界隈の作家に注目していたリスナーには、ハッチよりもむしろLOiDの方が有名だったはずだ。
だが、今勢いのあるネット系の作家を擁したレーベルが消滅するというニュースには、少々意外な感じを受けたリスナーも多いだろう。
2010年も相変わらず音楽は売れなかった。メジャー流通のCD販売を主体とした音楽産業は、すでに死に体と言っていい状況だ。その一方、ミュージシャン主導のネット配信やプライベートレーベル設立など、既存の音楽ビジネスから脱しようとする動きも目立った。LOiDのポジションは、その両方の流れに跨った、過渡期的存在だったとも言える。
そこで、LOiDの消滅から2011年の展望まで、ネットと既存業界の両事情に詳しい古川本舗の古川さん、みずからiTunes配信もしているミュージシャン・キャプテンミライこと丹治まさみさん、そして渦中の人である村田裕作さんで座談会を設定した。
前半は、やはりLOiDとレーベルビジネスについて。
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