なぜか投入されなかった
4コアのデスクトップ向けWestmere
話をロードマップに戻そう。2010年3月にインテルは、エンスージアスト向けのExtreme Editionとして、Westmereベースの6コア製品「Core i7-980X」を投入した。これは連載19回のロードマップで「Core i9?」と記したものだが、結局はCore i7の名称を維持した。
これに引き続き、2010年7月には倍率ロックをかけた6コア製品を、Extremeではない「Core i7-970」として投入した。動作周波数は980Xが3.33GHz、970が3.20GHzで、TDP枠はどちらも130Wのまま。つまり、プロセスを微細化した分の熱設計上の余裕で、コアを2つ増やしたわけだ。
インテルはなぜかデスクトップ向けには、「4コアのWestmere(Westmere-EP)」を投入しないことを以前から公言している。6コア製品はこの方針に沿ったものと言えるが、ユーザー側からすればデスクトップで6コア/12スレッドが利用できてもあまりメリットはない。むしろ4コア/8スレッドで動作周波数を引き上げたモデルがほしかったところだ。
実際、Xeonブランド向けには4コア/8スレッドの「Xeon X5677」(3.46GHz)がリリースされており、こちらをExtreme Editionに転用してほしかったが、なぜかそうはならなかった。結局デスクトップ向けの32nm世代4コア製品は、2011年1月の「Sandy Bridge」までお預けとなる。
満を持して登場のSandy Bridge
後続製品の投入も予定されていたが……
2011年1月には、Sandy Bridgeアーキテクチャーベースの製品が、まず「Core i7-2600、2600K、2600S」と「Core i5-2500/2500K」などの製品として投入された。アーキテクチャー面での改良も進んでおり、AVX命令の搭載やメモリーアクセス性能の改善などにより、大幅な性能引き上げに成功している(関連記事)。
またClarkdaleと異なり、今度は本当にひとつのダイ上でCPU/キャッシュとGPUやノースブリッジ機能を統合したため、これによる性能改善も図られている(関連記事2)。ただしGPUコアは、当初噂されていたDirectX 11への対応はなかった。性能もClarkdaleと比べれば倍増しているものの、元々の性能が非常に低かったので十分とは言いがたい。
何はともあれ無事に製品発表も済み、1月は特に倍率ロックを解除したCore i7-2600Kが、常に品薄状態が続くほどに人気もあった。だが、1月31日(米国時間)に出たプレスリリースで、Sandy Bridgeに対応したIntel P67/H67チップセットに問題があり、これを交換する必要があることを発表(関連記事3)。その後の計画もわからなくなってしまった。
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