オンエア曲の著作権処理は「しっかりやります」
―― ボカロ界隈の楽曲は著作権登録していないものが多いんですが、この問題はどう処理しますか?
橋浦 そこは問題としては捉えていません。個別に、Pさんを通じて権利者の方々に許諾を得てから(曲を)かけます。それは今までもそうでしたから。実は渋谷アニメランドで放送する前にですね、NHKのデジタルラジオ※でも特集の放送をやっているんです。ご存じないと思いますけど。
※ デジタルラジオ : 2010年の3月に「冨田明宏のアニソンに恋してる」という番組で「電子の歌姫特集」と題してボカロ曲の特集が組まれている。オンエア曲は「メルト」「みくみくにしてあげる♪[してやんよ]」「初音ミクの消失」「炉心溶融」など。
―― ええ、デジタルラジオは聞ける環境がないもので。
橋浦 デジタルラジオ推進協会が実用化試験放送というのをやっているんですが。そこでNHKもチャンネルを持っていて、そこで初音ミクの特集を放送して、権利処理のやり方やノウハウを積んでいったんですね。そこで権利的に問題のない形で放送できるとことが分かったので、それでいよいよ定時番組と。
―― 権利的にというと?
橋浦 もちろんラジオですから、音楽の作曲家の方の権利ですとか、編曲者、作詞者の方の権利ですね。
―― それは使用料を支払うということですね?
橋浦 ええ、ケースバイケースですけどね。あまり高いお金だと放送できないですけど、そこは相談しながら、視聴者の方の理解が得られる範囲の額をお支払いさせていただき、曲を使わせていただくということです。NHKはJASRACに年間いくらで支払ってますので、それと同じことです。
―― 処理が面倒だと思うんですが、それでもやる価値はありますか?
橋浦 やっぱりいい音楽が多いものですから。それに、やはり断りを入れないと権利の侵害になるので。それは公共放送としては認められない。そこはしっかりやりますよ。
―― ボカロ関係は商用でも適当に使われるケースもあるんですが、番組で放送されたらP(作曲家)にとっては経済的にもプラスになるということですね。
橋浦 我々もPさんを応援したいので。金銭的な流れがなくて、次の楽曲が生まれないということになると、文化としても残念なことになる。(この仕組みが)いい循環になればと思いますね。
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