このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

Apple Geeks 第25回

iPhone 4でワイヤレスオーディオレシーバーを使う

2011年01月26日 22時00分更新

文● 海上忍

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

iOS 4で「AVRCP」が追加され、実用的に

 このように、高音質オーディオ用と銘打たれているもののそれほどでもない(Apple Losslessを鳴らしきるには不足だろう)A2DPだが、重宝する場面は少なくない。

 そう言えるようになったのは、iOS 4.1でAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)がサポートされたため。AVRCPは、早い話が「リモコン用プロファイル」で、音量調整に再生/停止、曲の送り/戻りといった操作をワイヤレスで行なえるプロトコルだ。iOS 4.0のときから部分的にサポートされてはいたが、曲の送り/戻りが未実装というなんとも残念な仕様が改良されたのだ。

 「ようやく実用的になった」ということで筆者が購入したのが、SONYの「DRC-BT30」。上部にステレオミニジャックを装備しており、再生/停止や送り/戻しはジョイスティック状のコントローラで操作するという、リップスティック程度の大きさのワイヤレスオーディオレシーバーだ。

A2DP/AVRCP対応のワイヤレスオーディオレシーバー「DRC-BT30」

ペアリング完了後は、iOSにワイヤレススピーカーとして認識される

 もちろんA2DPとAVRCPに対応しているので、iPhone 4本体のみで利用できる。自分好みのヘッドホンを使えて5980円(ソニーストア直販価格)というのは、比較的リーズナブルなのではなかろうか。

 使ってみた感想だが、音質はまずまずのレベル。筆者のiPhone 4にある楽曲データは、Apple LosslessとAAC(256~320kbps)が混在しているのだが、iPhone 4に直接ヘッドホンを接続したときと比べても、遜色ない音を楽しむことができた。さすがに高性能DACを搭載したネットワークオーディオプレーヤーにはかなわないものの、筆者個人の大きな「課題」をクリアできたので大満足だ。

 その課題とは、カーオーディオシステムでiPhone 4の音楽を聴くこと。昨年末買い換えたクルマ(BMW 320i/LBA-PG20)には、ナビゲーションシステムやオーディオなどクルマに関するあらゆる操作体系がひとつのシステムにまとめられた「iDrive」(関連記事)が標準装備されていて、ダイヤルといくつかのボタンだけで大半のことができるのだが、iPhone/iPodの接続端子はオプション扱い。

最近のBMWに標準装備されている「iDrive」のコントローラー。iOSのTable Viewに通じるところがある操作体系は、いったん馴染むとかなり便利

 オプションを導入しても、アルバムアートワークが表示されるわけではなく、ハンドブレーキ横のアームレスト内に設置できるわけでもない。しかも工賃込みで約6万円。何か代替策はないかと考えていたところ、このDRC-BT30を使う方法を思い付いたのだ。

 セットアップは簡単。iPhone 4とペアリングを済ませ、DRC-BT30のステレオミニジャックとアームレスト内のAUXをケーブルで接続し、iPhone 4のスピーカーをDRC-BT30に変更すればOK。こうすれば、ケーブルを外に出す隙間がないアームレスト内にDRC-BT30を入れたままにしておけるし、後席からiPhone 4で選曲することもできる。

アームレスト内にはAUX端子が標準装備されているが、ケーブルを外に出す隙間がない。ワイヤレスのDRC-BT30ならば、この問題を解決できるのだ

 iDriveの内蔵HDDへUSBメモリーから曲を転送する方法(こうすればiDriveから選曲できる)とは異なり、Apple LosslessもDRM付きAACも再生できる。iDriveの垂直統合型操作体系からは外れるが、なかなか実用的だ。

 難点があるとすれば、DRC-BT30の連続使用時間が最大7時間と短いこと。USBから充電できるのだが、充電時には強制的に電源オフされてしまうので、充電しながら音楽を聴くことはできない。しかも、フル充電には2時間半もかかってしまう。うむむ……クルマで音楽を聴くことがこれほどまでに茨の道とは。何か良い解決策を見つけたら、この場を借りてご報告するつもりだ。


筆者紹介──海上忍

 ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザーにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。

■Amazon.co.jpで購入

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII.jp RSS2.0 配信中